和田秀樹「60歳からでも脳はどんどん発達する」 自分の限界を決めてしまうのはもったいない
高齢者専門の精神科医である和田秀樹さんの著書『脳と心が一瞬で整うシンプル習慣 60歳から頭はどんどんよくなる!』。本書の中で和田さんは、人はいくつになっても脳の働きを活性化させ、賢くなり続けられるのだと語っています。一部抜粋・再構成してお届けします。 ■高齢になってから人生のピークを迎えた人たち 60歳というと、ひと昔前には定年退職の年齢として設定されていたこともあり、「第一線を退く年齢」というイメージを持つ方もいるかもしれません。
けれど実際には、シニア世代の方は多くの可能性を秘めていますし、仮に過去に華やかな学歴や肩書などを得ていなかったとしても、70代、80代、時には90代になってから華々しい活躍をしたり、世の中に大きな影響を与えたりした方は大勢います。 大切なのは、「明日は今日の自分を超えていこう」という思いで前進し続けること。そういう人は「頭をよくしよう」と決意すれば、何歳であってもどんどん知力を増していくことができますし、限界突破していくことだってできるでしょう。
ここで、年齢を重ねてから人生のピークを迎えた方の例をいくつかお話ししましょう。 2024年4月に、日本航空(JAL)初の女性社長として就任された鳥取三津子さんは、もともとは客室乗務員として同社に入社した方でした。女性社長だけでなく、CA出身の方の社長就任も、同社にとって初めてのこととなります。 鳥取さんは長崎県の活水女子短期大学英文科の出身。2024年現在、彼女は59歳。社会人になってからの約40年の間にずっとご自身を磨き続け、経営者としての哲学とスキルを身につけてきたのでしょう。
■歴史上の人物の多くが遅咲き 歴史上の偉人で言うと、たとえば初めて日本地図の作成に乗り出した伊能忠敬(1745年~1818年)も、遅咲きの人物として有名です。 「人生50年」と言われていた時代、忠敬は50歳という高齢で天文学者に弟子入りし、測量・天文観測を本格的に学び始めました。その後、56歳から測量の旅に出て、71歳になるまで17年かけて日本全国を測量したのです。そして73歳の没後、彼の遺志を継いだ弟子たちが『大日本沿海輿地全図』を完成させています。