厚労省「残業禁止」へ “本気”の取り組みに実効性はあるのか?
1月27日、厚生労働省の職員は原則として毎日午後8時までに退庁、やむを得ない場合でも同10時までには退庁するという方針を打ち出しました。長時間労働削減推進本部の下に「省内長時間労働削減推進チーム」が作られこの方針を提言しました。手始めは大臣官房などで、3月から先行実施し、10月以降は全部局を対象とするとしています。
全省庁でもっとも多い残業時間
<長時間労働や賃金不払残業などのご相談を夜間・土日に無料でお受けします> これは厚生労働省のHPのトップページにある「労働条件相談ほっとライン」のバナーです。「労働条件相談ほっとライン」は2014年9月1日に設置されたもので、「日本再興戦略(改訂 2014)」で盛り込まれた「働き過ぎ防止のための取組強化」と同年6月27日に過労死等防止対策推進法が公布され、長時間労働対策を強化することが大きな課題になっていることから設置された対応策の一つです。 9月30日には、同省に長時間労働削減推進本部が立ち上がり、長時間労働への対策が進められることになりました。 と、このように労働条件についての指導・監督を担う厚生労働省ですが、省庁の職員は深夜まで残業することはザラといえます。 「霞が関国家公務員労組共闘会議」によると、霞が関の中央省庁で働く国家公務員の2010年の平均残業時間は月35.1時間とあり、最多残業時間は旧労働省の67.9時間。次いで旧厚生省の58.1時間。経済産業省が50.5時間、旧運輸省が47.8時間と続きました。 長時間労働を是正する厚生労働省の残業時間が全省庁でもっとも多いというわけで、塩崎恭久厚生労働大臣の主導で「厚生労働省働き方・休み方改革推進戦略」が実施されることになりました。今年3月から半年間、次の取り組みを官房各課と各部局筆頭課で試行的に実施し、10月から本省において本格実施するといいます。 この取り組みは次の3つの考えに沿って行われます。(1)大臣主導で半強制的に実施、(2)幹部職員等の人事評価に反映、(3)重層的なPDCA(計画→実行→評価→改善)サイクルの導入――。原則午後8時までに退庁するように部下をマネジメントし、残業が多いと幹部職員は昇進しないし評価されない。それでも、改善できなければ班、課、部局レベルで改善計画を出すということです。 働き方・休み方改革推進戦略のキャッチフレーズは「休むことも仕事です。今度こそ本気です。」というもの。本気の取り組みは効果をあげるでしょうか?