厚労省「残業禁止」へ “本気”の取り組みに実効性はあるのか?
残業の大きな要因が「国会対応」
そもそも省庁において労働時間が長くなるのは、書類の作成が膨大な量にのぼるからだといいます。 「上司からさまざまな業務の資料作成を求められますが、不必要な書類まで作っている場合もあるのではないかという疑念は多くの職員が持っていました。もっと踏み込んでいえば、幹部職員・管理職員が部下のマネジメントができていないから労働時間が伸びてしまうというわけです。ですから、しっかりと部下をマネジメントしていくためにも、20時には原則退庁という上限を決めて、そのなかで効率よく仕事ができるようにマネジメントしていくということが趣旨です」(厚生労働省人事課) 省庁の内部要因による長時間労働以外の大きな理由のひとつに国会答弁の準備をするためというものがあります。厚生労働省改革若手プロジェクトチームによる「業務改善・効率化に係る提言」には『職員アンケートによると、業務量の観点から負担を感じる業務として、最もその数が多かった(19.0%)ものは「国会関連業務」である』と書かれています。 「国会関連業務」は、国会答弁、質問主意書、資料要求等に答えるための資料の作成が中心になります。国会中継を見ればわかりますが、質問は多岐にわたり、用意する資料は膨大なものになります。質問に答える閣僚や政府関係者の後ろにはズラリと関係省庁の職員が張り付き、1000ページを超えるようなファイルを何冊も携えている姿も見えます。この資料を質問通告が届いてから用意するのです。 ちなみに質問通告は議会の前日夕方ごろにならないと届きません。その質問が確定するのは21時ごろ。そこから答弁メモを作成し、審査し、翌朝7時に政務三役へ説明し、8時からの国会審議に備えるというフローになります。
「質問通告の遅れ」が負担に
そして質問通告が遅れることもよくあります。職員アンケートでは、国会答弁作成業務の負担と考えられる原因として次のことがあげられました。 ・「質問通告が遅い」(71.8%) ・「必要以上に待機指示がかかる」(40.5%) ・「答弁クリアに時間がかかる」(30.2%) ・「答弁様式の変更が多い」(25.9%) ・「割り振り確定が遅い」(21.6%) 質問通告は与野党合意により2日前が期限(2日前ルール)と定められています。しかし、実際の質問通告は、質問日の前夜であることが多といいます。また、質問内容が非常に曖昧な点も多く指摘されています。