厚労省「残業禁止」へ “本気”の取り組みに実効性はあるのか?
例えば、自民党が下野した際、石破茂政調会長(当時)が自民党本部での記者会見(2010年10月13日)で、野党当時の菅直人首相(当時)の質問通告を次のように話したことがありました。 「委員会当日、日付が変わるころにようやく質問通告がきたら『内政全般について』とだけ書いてあって、かなり悲しい思いをしました」 野党としては内閣を揺さぶる戦略の一つといえなくもありませんが、こういった政治的な行動が、職員に長時間残業を強いることにもなるわけです。 組織的な管理を徹底することで長時間労働の削減を目指すとしていますが、質問通告という難関が解消されない限り、作業量の削減は難しいでしょう。作業量を削減するか、労働人口を増やすかでしか、基本的に労働時間を削減することは難しいものです。 また、効率的なマネジメントをすることで、無駄な作業量が劇的に減るのであれば、これまでのマネジメントに大きな問題があったともいえます。 「国会対応については、与党の先生方も質問通告を早めに出してくださるように気をつけていただくようになりました。問題は外部(国会)ではなく、内部(省庁)にあると捉えるのが基本原則です。古い上司には遅くまで残業したかで評価する人もいますので、そういう意識改革も必要ですね」(同人事課) 上司の意識変化で、どれだけ長時間労働が削減されるか――。責任が外部ではなく、自分たちあるというわけですから、まさに“本気”が問われることになるでしょう。厚生労働省の取り組みの推移を見届けたいものです。 (ライター・宇城健弘)