神津はづき×神津カンナが語る、母・中村メイコ「最後の仕事は『徹子の部屋』。6日後、最愛の夫にもたれかかり、映画のような最期だった」
〈神津はづきさん、弟の神津善之介さんと4月8日の『徹子の部屋』に登場〉 2歳半で芸能界入りし、86年の長きにわたり女優として活躍を続けた中村メイコさんが、2023年12月31日に逝去しました。享年89。亡くなる直前までテレビ収録を行っていたというメイコさんの最期の様子を娘2人が生前の母との思い出とともに語った、発売中の『婦人公論』4月号から記事を先出し配信します。(構成:篠藤ゆり 撮影:大河内 禎) 【写真】自宅庭のプールで水遊びを楽しむカンナさんとはづきさん。メイコさん29歳頃 * * * * * * * ◆映画みたいな最期になるとは はづき 母の最後の仕事は、ジュディ・オングさんと出演した『徹子の部屋』。収録は亡くなる6日前の12月25日ですから、本当にギリギリまで仕事をしていました。 カンナ 収録の時は、元気だったのよね。 はづき 元気、元気。父(作曲家の神津善行さん)によると、亡くなる前日まで、2日で1本、ウィスキーを空けていたんですって。若い頃は1日に1本空けていたけど、肝臓の数値もまったく問題なかった。 カンナ ただものじゃない。(笑) はづき 12月31日の午前中、私は両親のマンションにおせち料理を届けに行って。母は洗面所にいたので、「置いておいたからね」と声をかけたら、「はいは~い、ありがとう」といつも通り。それが最後の会話だった。 カンナ 父によれば母はその夜、あまり食欲がなくて、『紅白歌合戦』の途中で「もう寝るわ」と寝室に行ったそうです。
はづき 父は母に呼ばれるとわかるよう、ブザーを持っていて。それがブッと鳴ったので寝室に行ったら、「なんだかちょっと息が変なの」。抱き起こすと、母は父の小指に掴まった。父が「吸って~、吐いて~」と言いながら3回背中をさすったら、指がすっと離れて、父に寄りかかって眠ったようになって――。 ベッドに戻したけど、なんだかいつもと様子が違うので、私に電話をかけてきたの。それで駆けつけて、「ママ~、酔っぱらってるの?起きて~」と話しかけたけど、ふと気づいたら息をしてない。それで慌てて救急車を呼んで……。 カンナ あなたから電話をもらって、すっかり気が動転。でもどこかで、「来るべきものが来たか」という思いもあったのよね。 はづき 夫(俳優の杉本哲太さん)は仕事でいなかったけれど、息子も娘も病院に来てくれた。スペインで暮らしている弟の善之介以外、みんな集まったね。 カンナ 病院では母のそばで死亡診断書を待ったりして、いつ年が明けたんだかわからない、不思議な年越しだった。 はづき 年末、雲が龍に見えることが何回かあったの。来年は辰年だし、と思っていたら、大晦日に母が軽やかに天に昇っていったでしょう。あぁ、龍が母を迎えに来ていたのかなと思った。