神津はづき×神津カンナが語る、母・中村メイコ「最後の仕事は『徹子の部屋』。6日後、最愛の夫にもたれかかり、映画のような最期だった」
カンナ 一昨年末に母からもらった手紙に、「さすがに頭も身体も弱ってきました。私のトレードマークの《明るさ》を懸命に演じていますが……なるべく、お父さんやあなたたち姉妹にこれ以上、迷惑をかけないように、明るくポッツリといなくなりたい!!」と書いてあった。 母の手紙はいつもセンチメンタルで、《ちょっとアンニュイなメイコさん》を演じている。だから「いつものおセンチね」と思ったけど、今になって読み返すと泣けてくる。「お母さん、本当にそう思っていたんだな」って。 はづき 明るくポッツリ……言った通りになったよね。肺塞栓は、肺の血管に血栓が詰まって、わりとすぐに逝くみたい。たぶん父に起こされて、小指に掴まって背中をさすられた時、「今だ!」と思ったんじゃない? カンナ やっぱり女優さんよね。 はづき 母は「自分は2歳半から仕事をしていたのに、代表作がないのがコンプレックス」と言っていたけど……。 カンナ 最期が代表作! はづき まさか、あんな映画みたいな最期になるとは! カンナ 最愛の夫にもたれかかって、まさに眠るように。まったく苦しまなかったんでしょうね。本当にきれいな顔だった。 はづき 美人女優みたいだったわよね。 カンナ そう、そう。《中村メイコ》は喜劇女優のはずなのに。 はづき 家族で見送る時、「しらふでは三途の川を渡れないので、唇をウィスキーで湿らせてあげていいですか」と納棺師の方にお願いして……。 カンナ 私たちが「お棺がお酒臭くなっちゃう」なんて言い合っている横で、父はず~っと「きれいだよ、きれいだよ」と母に話しかけていた。「前髪をもう少しきれいに直してあげよう。ブラシはどこだ」と探して、髪を梳かしてあげたりして……。
◆娘の友だちを「夜の世界」に招待 はづき 今思うと、母はまさに規格外の人だった。 カンナ よく、《お母さん》になったよね。 はづき あの母親のもとで、私たち、よくまっとうに育ったと思う。(笑) カンナ 父は母のことを、「変わっている人だけど、あの人をお母さんと思っちゃいけないよ。《中村メイコさん》だと思って接しなさい」と言っていた。 はづき 父は良妻賢母が苦手で、変わった女性が好きなのよね。 カンナ そうそう。 はづき 私は10代の頃、母に反発していた。「つらいことがあったらママに話しなさい」と言われても、「あなたに話すことはない」みたいな感じで。 カンナ そうだったね。