「卒業後は、ひとりで練習するつもりです」あの青学大エースの就職先は? 箱根駅伝“最強世代”青学大4年、取材記者が見た6人の素顔「アナウンサー内定も」
【5】白石光星…原監督「区間賞取っとらんからなあ」
「ファンタスティック・フォー」に、2年生の時から割って入ってきたのが、今回、7区を走った白石光星と、9区を走ったキャプテンの田中悠登だった。 白石は宮城の同郷だけに注目していたが、2年生の時に全日本の2区を任され、区間16位に沈んだ。この時、青学大は駒大(このシーズン三冠)、国学院大についで3位となった。 優勝を逃した責任を感じていたのだろう、白石は閉会式の時からかなり沈んだ表情になっていたが、東京への帰路、近鉄の五十鈴川駅で青学大の面々とたまたま一緒になった。そのとき、駅のホームで先輩が、「白石、飛び込むなよ!」と冗談交じりに慰めていたのが印象に残っている。 昨年は駅伝への出走ゼロだったが、今季は全日本から戦線に復帰、初めての箱根駅伝出場に漕ぎつけた。『完全密着! 箱根駅伝』では、原監督に対して「『ジョジョ』が好きで、地中海料理も好きなので、ヴェネチアに行きたいです」とリクエスト、「区間賞取っとらんかなあ」とダメ出しをくらっていたのが、なんとも気の毒。 白石は7区で区間9位。 「6区の野村が区間新記録でたすきを運んできてくれたこともあって、自分も区間新を狙って最初の5km、突っ込んでしまったんです。それで後半はキツくなってしまい、ズルズルと行ってしまいました。走り終わって、胃がキリキリしてたんですけど、最終的に優勝できて、何はともあれ良かったな、という思いです」 区間新を狙っていった思い切りの良さ。青学での4年間は、攻めるだけの自信を植え付けてくれる。
【6】田中悠登「キャプテンに立候補した男」
そして9区は田中である。 個性の強い同級生に囲まれていたが、田中はキャプテンに立候補した。競技力だけではない、リーダーとして集団を引っ張りたいという強い意志があった。 最後の箱根駅伝では、給水を担当した同級生の片山宗哉と乾杯してからドリンクを飲む、自分で自分の走りを実況しながら10区アンカーへたすきを渡すという、「抑えられない表現欲」があったからこそ、強い4年生の中で存在感を示すことが出来たのだと思う。 4月からはアナウンサー。仕事における表現欲がどこに向かうのか、楽しみでもある。 青山学院大学、2025年卒業組。 私が取材してきた中で、箱根駅伝については最速、最強であり、いつも取材で楽しませてくれた学年だった。 本当にありがとう。 <《鶴川・若林》編から続く>
(「スポーツ・インテリジェンス原論」生島淳 = 文)
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