銀行・証券・リース・保険…「生成AI」取り込む、金融業界それぞれの現在地
リース 内製開発して機能を実証
リース業界でも生成AIを活用する事例が増えてきた。三井住友ファイナンス&リースは、内製開発した生成AIをクラウド型資産管理システム「アセットフォース」の提案活動に活用する。アセットフォースの提案から導入後の支援、改善まで生成AIが一貫してサポートする体制を構築する。 まず、提案前のアイデア出し、アポイントメールの作成、導入事例の検索などの機能の実証に取り組んでいる。顧客に合った提案資料やマニュアルを作成する機能も検討する。同社の藤原雄ICT開発部デジタルラボ所長は「生成AIの活用を前提にシステム開発、営業提案、ソリューションなどを考えていく」と話す。 みずほリースは営業社員の業務効率化、顧客向け提案資料の高度化に向け、生成AIを活用した社内システムの開発を進めている。三菱HCキャピタルは日立製作所と組み、生成AIの本格利用を3月に開始。業務の効率化にとどまらず、新事業創出にもつなげる。10月には生成AIの利用促進に向け、コンテストを開いた。
保険 楽しみながら仕事に導入
保険業界では生成AIの活用を社員に促すため、知恵を絞っている。 三井住友海上あいおい生命保険は、利用頻度に応じてキャラクターが成長するゲームの機能を25年1月に自社の生成AIのシステムに実装する。ホーム画面に週の利用回数を表示するとともに、「タスカル(助かる)」という名称のキャラクターが回数に応じて5段階で成長する仕組み。社員に楽しんで生成AIを活用してもらうために開発したという。 住友生命保険は優れたプロンプト(指示文)を表彰するコンテストを24年度に2回実施する。表彰された社員が生成AI活用のモチベーションを高めるだけでなく、優れたプロンプトを他の社員が知ることで活用のヒントを得る機会にする。三井住友海上火災保険は全国の営業部支店で活用の勉強会を開催。社員同士での事例共有や情報交換で浸透を図る。 将来的に生成AIを使いこなせる社員とそうでない社員との間で生産性に大きな開きが生じるとの指摘もある。各社は社員のAIリテラシーを底上げし、競争力の強化につなげる。