「引き揚げ」の記憶継承へ 続ける語り部講座 舞鶴引揚記念館が募集
戦後のシベリア抑留や舞鶴港に帰国した引き揚げの史実を後世に語り継ごうと、舞鶴引揚記念館(京都府舞鶴市平)が「語り部」養成講座を続けている。近年は学生の参加が増えた。戦後80年となる来年は1月18日から始める。市内外からの参加者を募集している。 【写真】2023年度の「語り部」養成講座の様子=2023年12月9日午後1時38分、京都府舞鶴市平、舞鶴引揚記念館提供 記念館によると、舞鶴港では戦後13年間で約66万人の引き揚げ者を迎え入れた。そのうち約46万人がシベリア抑留者。記念館が収蔵する570点の関連資料は2015年、ユネスコの世界記憶遺産(現「世界の記憶」)に登録され、来年で10年となる。 講座は、引き揚げ体験者の語り部が高齢化したことなどから04年度に始まった。一時中断もあったが、16年度からは一般だけでなく、学生も参加するようになった。23年度には中学生など学生の参加が過去最多の18人に上った。 ■「体験者なき戦後」へ 大切さ増す活動 講座内容は、シベリア抑留や引き揚げの歴史、館内の展示内容の説明、語り部の実習など。知識だけでなく、語り部の思いや伝える姿勢を学ぶ。 講師は、館内で語り部活動をするNPO法人「舞鶴・引揚語りの会」のメンバーらが務める。現在、同会には78人が所属する。このほか、学生語り部は中学生から大学生の45人という。 山下美晴・元館長は「来年は戦後80年。体験者なき戦後の始まりを迎えつつあります。ますます大切になる語り部活動に参加してもらえれば」と話す。 講座は来年1月18日~3月8日の土曜日(午後1~4時)を中心に記念館で開く。一般は計6日間、学生は計5日間。対象者は、語り部活動に意欲のある小学6年生以上。申し込みは来年1月10日まで。定員は一般、学生とも20人(先着順)。無料。 詳細や申し込みは記念館(0773・68・0836)のホームページ(https://m-hikiage-museum.jp/)。(今林弘)
朝日新聞社