「2型糖尿病」発症リスクは“週5回以上のチョコレート”で低下 甘いものが糖尿病予防に!?
研究内容への受け止めは?
編集部: アメリカのハーバード大学T.H. Chan公衆衛生大学院らの研究グループが発表した内容への受け止めを教えてください。 濵﨑先生: チョコレートは糖質と脂質を多く含むお菓子であり、血糖値を上げるため「健康に良い食べ物ではない」という印象を持ちますが、カカオを多く含むダークチョコレートは抗酸化物質であるポリフェノール類を多く含み、一定の健康効果があるようです。最近の研究では、「ダークチョコレートの摂取は、心血管疾患リスクとは有意な関連はないものの、高血圧リスクを27%下げる」と報告されました。2型糖尿病の発症リスクを下げる機序としては、フラバノールによる「インスリン感受性(インスリンによる血糖値の下がりやすさ)の改善」や「腸内環境の改善」が考えられ、約20%の発症リスク低下は大きいものと考えます。 しかしその一方で、研究の限界もあります。本研究は、白人で高学歴な医療従事者が対象であり、結果がほかの集団にも当てはまるかは不明です。また、ほかの研究にも言えることですが、チョコレートの摂取量は自己申告で評価されているため、バイアスの存在は否定できません。さらに、一口にダークチョコレートと言ってもカカオ含有量は様々ですし、全てのダークチョコレートに同様の効果があるかどうかは不明です。 今回の研究は因果関係を示した研究ではないので、「ダークチョコレートを食べれば2型糖尿病になりにくくなる」というわけではない点にご留意ください。
今後、どのように研究成果が活用できそうか?
編集部: 今回紹介していただいた研究結果は、どのようなことに活用できるものでしょうか? 濵﨑先生: 「日常的なお菓子として食べるダークチョコレートに2型糖尿病の発症リスクを下げる効果がある」という研究結果は、みなさんにとって嬉しいことだと思います。ダークチョコレートに含まれるポリフェノール類は炎症や活性酸素による酸化を抑える働きがあり、健康に良い効果がありますが、チョコレートを食べ過ぎれば当然血糖値は上がりますし、太ります。糖質や脂質が多くポリフェノール類が含まれないほかのお菓子類と比べたら、健康に良い効果がある程度のものと考えてください。ポリフェノール類は野菜やナッツなどにも豊富に含まれているので、お菓子を食べるときには「美味しい」以外に「カラダに良いかも」という観点から、お菓子を選ぶのがいいと思います。