ピース又吉直樹がファッションブランドを立ち上げた理由 第1弾はパジャマ
WWD:パジャマを“街着”としても着られるようにデザインした理由は?
又吉:“寝る”という文字が入っている町で生まれ育ったとはいえ、寝るだけじゃなく、学校やバイトなど、いろいろな活動もしていたわけですよね。そこで、“街着”としても使えるようにしたら面白いと思ったんです。
WWD:“街着”として着用する際のおすすめコーディネートは?
又吉:パジャマのトップスはゆったりとしたシルエットなので、黒のワイドパンツとスニーカーがよく合うと思います。かさばらない素材なので、上からアウターを羽織ってもハマりますね。パンツの方も、シンプルにTシャツとか、何でも合わせられると思います。
WWD:デザインの着想源と、こだわったポイントは?
又吉:寝屋川市の“川”や、「水流舎」の“水”から連想した水神の竜を、胸元に刺しゅうで入れました。あとは、特に生地にこだわりましたね。自分がこれまでに着てきたパジャマの中で一番気に入っている素材に近いものをいくつか試作し、家に持ち帰って睡眠時に実際に着用してみて、着心地がいいものを選びました。
小説を1行ずつ書いていくような感覚でデザインした
WWD:文章を書くときと、服をデザインするときの共通点は?
又吉:文章を書くときは、「よし、これを書こう」と書き始めて、1行書いたら、1行目が2行目のヒントになって、2行書いたら、1行目と2行目が3行目のヒントになって、というように数秒前や数分前の自分に刺激を受けて書き進めていくようなところがあるんです。パジャマを作っている時も、自分が生まれ育った町のことを考えたり、改めて「川ってなんや」とか、「水ってなんや」とか、睡眠についても思考を巡らせたりして。このパジャマを着て寝た人が、「今日ちゃんと寝られたな」という喜びを味わえたらいいなと思い、「じゃあ竜に守ってもらうか」とか。いろいろな考えに対して、「ということはこうやな」という風に一つずつ進めていったので、それが小説を1行ずつ書いていく感覚とすごく似ていましたね。