【展望】2025年の政治決戦…注目は「2・6・7の山」 石破少数与党VSガラスの野党 103万円引き上げと選挙の行方は
暫定予算も? 野党側の予算成立への責任は
一方、野党側の視点で見ると予算案への対応は簡単そうで難しい。予算案は政府与党の方針そのものであり野党の存在意義的には反対するのが通例だが、同時に予算は国民生活の前提となるもので、成立が遅れ、国民生活への影響が出れば政府与党の責任と共に野党の責任も問われることになる。 国民民主党の玉木衆院議員は、103万円の壁見直しで十分な金額に上げられない場合は、予算案に反対する姿勢で、予算が3月末までに成立せず、政府が暫定予算を組まざるをえなくなる可能性にも言及している。立憲民主党も含め、予算案の審議を通じてどこまで与党に対し強硬に対抗するか、30年ぶりの野党からの予算委員長となった安住委員長の委員会さばきと合わせ、2月末は大きな山場となりそうだ。
6月の国会会期末は「内閣不信任案」をめぐり緊迫した局面に
そして国会の最大の山場となるのが、会期末の6月だ。通常国会は1月24日に召集され、延長がなければ6月22日に閉会する。通常国会の会期末には、野党が内閣不信任決議案を提出することが多く、参院選を控えている場合には、特にその傾向が強い。 そしてこの国会での内閣不信任案をめぐる攻防は、これまでとは状況が大きく異なる。その理由はもちろん、与党が過半数割れしているため野党がまとまって賛成すれば内閣不信任案が可決される状況にあるということだ。 仮に内閣不信任案が可決された場合、総理大臣は10日内に内閣総辞職するか衆議院を解散するかを選ばなくてはならない。内閣総辞職を選択する場合には、石破内閣の退陣、臨時の自民党総裁選などを経た上での、総理大臣指名選挙の実施が見込まれることになる。自民党内で、石破首相を降ろし新総裁のもとで参院選を戦いたいと願う勢力にとっては望ましいシナリオと言えそうだ。 一方で、石破首相が衆議院を解散した場合、7月に予定される参院選とのダブル選挙になる可能性が高い。もしダブル選挙となれば1986年の中曽根内閣以来、39年ぶりの大決戦となる。野党にとっては政権交代を賭けての大チャンスとなるし、自民党にとっても国民の支持さえあれば、衆議院で自公過半数を回復するチャンスにもなる。 石破首相は12月27日の講演後の質疑で、不信任案への対応について「衆議院において不信任案が可決された場合には、解散しない限り総辞職しなきゃいかん、これが日本国憲法の規定だ。不信任案が通った、しかし衆議院の意思はそうだが内閣としてはそうは考えないという時に、最後に決めるのは主権者である国民の皆さん方であるのは当たり前のことだ」と述べ、衆議院解散は選択肢だとの考えを示した。さらに28日には衆参ダブル選挙について「これはありますよね。同時にやってはいけないというそんな決まりはない」と述べ、可能性に含みを持たせた。 ただ、内閣不信任案を提出してもが可決されるかは見通せない。野党の連携はもろく、「ガラスの連携」と言える状態だからだ。国民民主党や日本維新の会が自公との連携で政策実現を目指す方向に舵を切っていた場合、国政の混乱回避のため不信任案に反対する可能性も十分あるだろう。その場合には自民党政権の延命に手を貸したとの批判も受ける恐れも踏まえ、参院選を見据えてのギリギリの判断になりそうだ。 また、立憲民主党も、石破首相の支持率が上昇していない場合、石破首相を退陣に追い込んだ結果、自民党が擁立するフレッシュな新総裁と戦うよりも、石破首相のままの自民党と参院選を戦った方が有利だという考え方も党内にあるため、不信任案の提出に慎重になる可能性も否定できない。各党の様々な思惑が絡み合う内閣不信任案をめぐり、6月は緊張感に包まれた会期末を迎えそうだ。