ホームパーティーに、プールに、ガーデニング。15㎡のテラスが家族の幸せな時間をつくり出す家。建築家のこだわりは…
「家族はもちろん、ゲストも集うようなパブリックな空間がほしい」という住み手からの依頼に対して、建築家の黒崎敏さんが提案したのは約15㎡のアウトドアテラスが連なる、LDK空間を内包したコートハウスのプランニングでした。都内の第一種低層住居専用地域にある42坪の敷地をどのようにプランニングしていったのでしょうか? 【写真集】広いテラスが心地よい!四季を感じられる家の本当の魅力
スケール感や素材を対比させることで生まれるおおらかな空間
隣接する土地に親族が暮らしていることもあり、日常的に家にゲストを招いて楽しむと語る住み手のAさん。 おおらかで開放的、そして子供たちが独立しても集うことができるような場所を新しい家でも叶えたいというのが要望の1つにありました。 実際の面積よりも広がりが感じられ、自然の心地よさも体感できるような空間を考えたときに、必然的にLDKを2階にまとめる案が浮上したと、建築家の黒崎敏さんは語ります。 「採光や通風は好条件の敷地だったので、その魅力を縁側や土間のような中間領域として取り込みたいと考えました。そうして完成したのは、一見すると外から守られたデザインの外観ですが、内に入るとその印象が反転するようなサプライズ感のあるプランです。切妻屋根の下には、内も外もつながったような曖昧な空間があり、そこでゲストとともに笑顔で過ごすイメージです」
1階は中庭を囲むように主寝室や子供部屋を配置。日中も中庭からの採光で明るさに申し分はないとはいえ、グレートーンが静謐な印象の空間です。 また、廊下や階段周りは幅80㎝とミニマムに設定されており、その対比も相まって2階へと階段を上がったときに広がるLDKの広さや明るさをより感じることができます。
建ぺい率をクリアするために設けられた中庭は、1階はもちろん2階からも眺めることができ、季節によって変化する落葉樹のシンボルツリーが、四季の移り変わりを伝えます。 1階と2階で、部屋の配置やサイズ感のバランスを緻密に計算。その対比から生まれるダイナミックさが空間に大きな魅力をもたらしていますが、建材や素材使いも意図的に変化をつけているのが特徴です。