『遠い空の向こうに』ロケット打ち上げに情熱を注ぐ、青春映画の佳作(後編)
あらすじ⑥
その晩、眠れなかったホーマーは、ライリー先生からもらった本を引っ張り出し、ロケットの弾道を求める計算式に徹夜で取り組む。それは炭鉱の昼休みまで続き、作業終了後は帰宅しないでクエンティン(クリス・オーウェン)の自宅を探すことにした。彼は、遠方に住んでいたのでヒッチハイクで行き、森の中にひっそり建つボロ家(*2)を見付け出す。 クエンティンは、狭い部屋で幼い兄弟たちといっしょに暮していた。彼は、ホーマーが自力で導き出した方程式に感心し、「オークXIII号」の推定落下地点を1.9km先と計算した。そして、「翌朝いっしょに捜索しよう」と約束するが、「この家のことはロイやオデル(チャド・リンドバーグ)には黙っていてくれ」と頼む。 鉱山を欠勤したホーマーはクエンティンと共に、「ケープ・コールウッド」の発射地点から、ロープで実測を始める。そして森の奥深くまで入って行ったものの、推定落下地点にロケットの残骸は見当たらなかった。だが、風の影響を考慮してみると、沢の中に突き刺さっている「オークXIII号」が見付かる。 彼らがその機体を持って学校に行き、クラスは大騒ぎとなる。校長がその声を聞き、教室に入って来て、退学したはずのホーマーがいることを咎める。だがホーマーは、校長の前で方程式を解き、火災が起きた4.8kmまで「オークXIII号」が届かないことを証明してみせた。 校長は、4人組を車に乗せて警察署に向かう。そして証拠として提出されたロケットが、照明弾のものだと見抜いた。その帰り、校長はホーマーに復学を勧める。そしてホーマーの自宅で、警察から返還された機材を整理し、作業の再開を始める。新たな目標は、本格的なラバール・ノズル(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A9%E3%83%90%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%8E%E3%82%BA%E3%83%AB#:~:text=%E3%83%A9%E3%83%90%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%8E%E3%82%BA%E3%83%AB%E3%81%BE%E3%81%9F%E3%81%AF%E3%83%89%E3%83%A9%E3%83%90%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%8E%E3%82%BA%E3%83%AB,%E5%BE%97%E3%82%8B%E3%81%AE%E3%81%AB%E4%BD%BF%E3%82%8F%E3%82%8C%E3%82%8B%E3%80%82)の開発だった。 しかしそこにジョンが割り込んできて、メンバーを家に帰らせ、ホーマーの無断欠勤を激しく攻めた。そして、今すぐ夜勤に行くように命じるが、ホーマーは炭鉱に戻ることをキッパリ断り、「僕は宇宙を目指す」と答える。 *2 当時この地域には、石炭産業しか存在しなかった。そのため、廃坑になった鉱山で働いていた人々や、働き手を事故や病気で失った家族は、町から追い出されてしまう。そのためクエンティンのように、隠れてギリギリの生活を送っていた人々も少なくなかった。