定年後は海外移住を検討しています。移住したら年金はどうなりますか?
海外移住した際に、日本の年金をそのまま受け取れるのか疑問に思う方もいるでしょう。結論から記載すると、適正な方法や手続きを行えば、海外からでも日本の年金を受給できます。 本記事では、海外で年金を受け取るために必要な手続きや、年金の受け取り方法について解説します。
海外移住しても年金はもらえる?
海外移住をしても、日本で受給する場合と同様の条件を満たしていれば、海外でも年金を受給することが可能です。ただし、海外で年金を受け取るためには、事前に手続きが必要となります。 年金受給前にすでに海外に居住している場合は、年金受給開始年齢になったときに年金請求書(日本居住の場合は送られてくる)をダウンロードし、必要事項を記入して年金事務所(日本で最後に住んでいた地域を管轄する年金事務所)または街角の年金相談センターに提出しなければいけません。 原則、日本に帰国して提出しなければいけませんでしたが、社会保障協定を結んでいる国であれば、協定国にある実施機関で手続きが可能となっています。日本年金機構のホームページに記載してある協定国から移住先の国が対象となっているか確認してください。 また、老齢年金は所得税の課税対象となるため、租税条約に関する届出書の提出も必要です。租税条約に関する届出書とは、日本と海外で二重で税金を支払わないようにするための届出書です。 海外に移住すると日本では非居住者となり、移住先で定められた税金を支払わなければいけません。さらに、アメリカに居住する場合は、特典条項に関する付表も提出しなければいけない点にも注意しましょう。
海外移住した際の年金の受け取り方法
海外で年金を受け取る場合は、以下の方法が考えられます。 ●日本の口座に振り込まれている年金を、デビットカードを使用して引き出す ●海外口座を作り、その口座から引き出す それぞれの方法について、確認していきましょう。 ■デビットカードを使用して引き出す 現地のATMからデビットカードを使用すれば、海外からでも日本の口座から現地通貨で年金を引き出せます。使用するデビットカードは、現在の日本の口座を開いている銀行から作成可能です。 ただし、デビットカードからお金を引き出す場合は、為替レートに事務手数料が上乗せされた金額となる点に注意しなければいけません。また、デビットカードの新規作成をしていない銀行もあるため、自分が使用している口座の銀行がデビットカードの作成ができるかも事前に確認しましょう。 ■海外口座を作り引き出す 海外口座から年金を引き出す場合は、海外に口座を作って、その口座に年金を振り込んでもらうための手続きが必要となります。その際に「外国居住年金受給権者 住所・受取金融機関登録(変更)届」を日本年金機構のホームページからダウンロードして、必要事項を記入し、年金事務所に提出しなければいけません。 初回の振込時のみ、手続きの関係で3~4週間程度かかってしまう可能性があるようです。また、デビットカードで引き出す際と同様に、移住先の為替レートで換算されて入金される仕組みとなっており、個別で通貨を選定することはできません。