少数与党の石破首相が今年直面する3つの「壁」 乗り越えた先に衆参ダブル選も!?
今年最大の政治イベントは、7月20日投開票が想定される参院選だ。石破茂首相(自民党総裁)は、その前に3つの大きな「壁」を乗り越えなければならない。 【写真】親指、中指、人差し指、「Vサイン」も…答弁求め方も個性的な石破茂首相 昨年10月の衆院選で少数与党に陥ったゆえの壁である。衆院で自民党と公明党の会派は計220議席で、過半数の233に13議席足りない。このギャップが政権に困難をもたらす。 13議席の穴を埋める試金石が「年収103万円の壁」の引き上げ幅などを巡る自民、公明、国民民主の3党協議だ。昨年末、178万円を求めた国民民主に対し与党は123万円を提示した。チキンレースの様相だが、与党としては何とか合意し、協力関係を築いた上で今月24日召集見込みの通常国会を迎えたい。 その通常国会では2月末ごろ、最大の障壁がやってくる。令和7年度予算案の衆院採決だ。 ■予算案衆院通過の壁 衆院では野党各党が結束すれば反対多数で予算案を否決できる。1年間の政府のあらゆる施策の裏付けが予算案で、成立しなければ石破政権は絶体絶命となる。 否決はしないまでも、野党が大幅な予算組み替えを求める、あるいは賛成する交換条件として首相の退陣を要求する可能性も捨てきれない。 首相にとっては「国民民主か日本維新の会を引き寄せ、野党を結束させないことが大事」(現職閣僚)。それゆえ、国民民主と「103万円の壁」引き上げ、維新とは教育無償化の協議を進めることで合意した。 とはいえ、与党と国民民主は連立政権合意文書に署名しているわけではない。参院選が近づけば野党側はアピールに躍起になる。さらに強気な政策要求をすれば、自民内の反発も募る。自民の森山裕幹事長は党を押さえながら野党の離間工作を進めなければならない。 ■石破おろしの壁 無事に予算を成立させても「石破おろし」というリスクがある。 首相退陣を予算成立の交換条件にする「予算花道論」は、岸田文雄政権が「政治とカネ」で揺れていた令和5年末、石破首相自身が言及した。「来年度予算案が通ったら(岸田首相が)辞めますというのはありだ」との発言が自身へのブーメランになり得る。 石破政権は今のところ低位安定している。内閣支持率より不支持率が高い状況にもかかわらず、自民内で首相を引きずりおろそうという動きはほぼない。それは党内抗争の余裕がないほどの危機的状況の裏返しでもあり、不満はたまっていないわけではない。