やはり政治が悪い、古い人は自ら退くべきーー忖度しない経済作家、高杉良が語る日本
古い人は自ら退くべき、総務省の接待は「くだらない」
「強かった日本はどこへやら、もう東アジアの中でも霞んだ存在。これはやっぱり、政治が悪い。三権分立だなんて言っているけど、圧倒的に政治が強いもの。かつ、その政治を仕切っているのは、過去にしがみついた高齢者ばかりでしょ。古い人は、自ら退くべきですよ。そして、若い人、特に女性をもっと登用してもらいたい。僕の周りには、記者や編集者で、これはかなわないな、と思うくらい優秀な女性がたくさんいましたよ。能力のある女性たちに、もっと自由に活躍してほしい。そうすれば、日本全体が底上げできるでしょう」 グローバル時代に後手に回った現在の日本について、高杉は憂慮する。ジェンダーギャップの現状に加え、教育レベルの低迷についても嘆息した。 「人間にとって一番大切なことは、個性だと思う。子どもの頃から、それを大人が見つけて伸ばしてやる、これが大事だよね。今は少子化だから、きめ細かく見てあげられると思いきや、教育の平均化によって、逆に個性をつぶしてしまった。みんな同じようにやりなさい、競争しなくてもいいんだよって、それじゃあ子どもは伸びないよ。子どもたちのいいところを引っ張り上げる、力のある教師をいかに育てるか、そこを考えていかないと」 総務省の接待問題など、最近のニュースにも触れ、「あんなどうしようもないことが起きるのも、そもそも教育が原因」と斬り捨てる。 「みんな右へ倣えの教育で平準化した結果、今の役人は“小役人”になってしまった。政治家も今の役人たちも、自分の周りのことしか見えていない。国としてどうあるべきか、という視点を持つことができないんですよ。それぞれの国家論を持たないから、責任感もない。だからあんなくだらないニュースがね。企業にスケールの大きなビジネスマンが育たないのも、同じことです」 日本の教育システムは簡単には変わらない。個性を引き上げてくれる教師に巡り合えるかどうかは、運しだいだ。だから若い人たちには、たくさんの本を読んでほしい、と高杉は言う。 「いつの時代でも、本はすごいのよ。10代、20代は、とにかくたくさん活字に触れてほしい。小説でも、新聞でも、童話でもいいんだ。自分が興味を持ったことは、なんでもいい、勉強でもスポーツでも好きなことを続けて、その分野の本を読んで知識を深めていく。『これならば自分は負けない』という何かをつかむ、本はその手助けになるんだよ」