【独占】なぜ横浜DeNAは元阪神・鳥谷敬を獲得しなかったのか…編成トップに聞く筒香嘉智のいない2020年戦略
――ファンへ球団の姿勢を見せる意味で当たって砕けろの交渉があっても良かったのでは? 「私たちは異なる考え方を持っていて、私たちは動いています、ということを見せるための動きはしない方がいいと思っています。獲得できなかったとき、それはファンの皆さんを裏切ることになりますし、特にビッグネームが来なければ、なぜ来なかったのか?という声が出てきます。我々はやることをやっていますと、アピールをしても結果が伴わないと、やっていないのと同じです。だからマスコミにも積極的に(FA戦略を)発信することはしていないんです」 ――なるほど。まだ阪神を退団した鳥谷敬の落ち着き先がありません。彼こそ、二遊間強化に適していませんか? 「鳥谷選手は実績も申し分のない素晴らしい選手です。ただ私たちが今後やっていくチーム作りを考えると慎重にならざるを得ないのです。ドラフトで森敬斗、田部隼人という高校生のショートを2人獲得しました。これから育てる選手がいて、二塁には、伊藤裕季也、柴田竜拓という1軍でレギュラーの出来うる選手もいる中で鳥谷選手のようなビッグネームを取るとすなわち他の選手のチャンスを奪うのと同義になります」 ――さきほど語られた新たなるチーム作りという方針ですね。 「高田GMとして最後となった2018年のドラフトから1位で高校生(小園を指名もクジで広島へ)を指名しています。高田さんと、その際に話したのは、ようやく懸案だったところを補強できるチーム状況になってきましたねということ。参入したばかりの低迷期は、次を戦う戦力を一刻も早く作らねばならなかったため、高田さん、吉田さん(前スカウト部長)にご苦労をいただいた。数年間、指名の上位が即戦力で活躍するというドラフトをしてもらったおかげで、やっと育成したい選手を上位でとれるようになった。今回は7人のうち高校生が4人。例年にないドラフトができました。ファームの施設も新しくし、ファームのコーチの数も増やした。元来、ドラフトでいい素材を取って、ファームで育て、1軍で花を咲かすのがチーム編成のセオリー。その一番の理想に少しずつ近づいています」 ――中長期スパンでは何年周期で強化をプランニングされていますか? 「基本チーム作りの目盛は5年周期で見なければなりません。だが、ついつい短期になってきます。少なくとも3年先を見て編成計画は進めていかなくては、『なんで、この年にこの選手を取ったの?ポジション重なっているじゃない?』というような事態が起きて整合性が取れなくなるんです。バランスのいいチーム作りを考えると、やはり5年周期で考えないとなりません。つまりドラフトでは、3年後には、このポジションには、この選手が出てくるという部分まで情報を集め、予測を立てて進めています」 <後日掲載のインタビュー後編に続く> (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)