「とりあえずググる」は危険──図書館司書が明かす、AI時代の「正しい情報の集め方」
ビジネスや日常生活において、「情報収集」は欠かせない。 だが、効率的に情報を集めたいものの、山のようにある情報に翻弄され、時間がかかってしまう── 。 【全画像をみる】「とりあえずググる」は危険──図書館司書が明かす、AI時代の「正しい情報の集め方」 『大学図書館司書が教える AI時代の調べ方の教科書』(BOW BOOKS)著者で、大学図書館の司書を務める中崎倫子氏に、効率的な情報収集の方法について聞いた。
「疑う」ことが情報収集の第一歩
知りたいことがあれば、検索エンジンに思いつくキーワードを入れ、とりあえず検索。検索結果で表示が上にあるものからざっと目を通していく……といった調べ方をする人も多いだろう。 中崎氏によると、その情報の集め方は「少し危険」だという。 我々が日ごろから触れるネットニュースや本は、「読ませる工夫」としてタイトルや見出しにインパクトがある言葉や数字が並ぶことがある。 「数字などが載っていると、一見“もっともらしい”内容に見えてしまうもの。 しかし、一度立ち止まって『その情報のエビデンス(根拠、裏づけ)は正しいのか』と吟味する必要があります。 そうしないと、誤情報をもとに誤った判断をしてしまうことにもなりかねません」 例えば、「物質Xが、とある病に有効」というタイトルの医療系のネットニュースがあったとする。 つい興味が湧いてしまうものだが、記事を読み進めると、「Xという成分が有効かは、動物実験の段階。この段階では、人間の病に対して有効かどうかまでは証明されていない」といった事象もままある、と中崎氏。 表層的な部分だけで判断するのではなく、根拠までしっかりと確認する。そういった情報収集のリテラシーを身に付けることは、結果的に効率的な情報収集にもつながると話す。
情報収集のポイントは「期限」「目的」「仮説」
では効率的な情報収集を行うために、必要なことは何なのか。中崎氏は、以下の3つの設定が重要だと語る。 ①期限を決める 現代は、本や雑誌、インターネットなどに情報があふれかえっている。深く調べようとするとどこまでも追求できてしまうため、まずはおおまかに期限を決め、どの時点で収集を終わりにするかを決めておくことが重要だ。 ②目的を明らかにする 「何のために集めるのか」という目的を決める。また最初の段階で、「調べたい情報について、自分がそれをどの程度知っているかを明らかにすること」も大切だという。 もし自身が全く知識を持っていないテーマや事象に関して知りたい場合に、中崎氏がファーストステップとしておすすめするのは「本」だ。 「まずは基礎的な知識がまとまっている本で、体系的な知識を身に付けることをお勧めします。 インターネットや雑誌、新聞の記事は、情報が断片的なことが多く、ベースになる情報を得るには実はやや不向き。 逆に、ある程度知識がある場合は、インターネットや雑誌、新聞の記事などから最新の情報を取り入れるのがいいでしょう」 ③仮説を立てる 情報があふれかえっている中で、やみくもに収集するのは効率的ではない。 中崎氏によると、目的から逆算して必要な情報を割り出してから、情報収集に着手するのが効率的だという。 「情報収集には、①膨大な資料を集めてその中から必要な情報をより分けていく方法と、②事前にアウトラインを組み立て仮説を用意したうえで、それを検証するための情報収集をする方法、大きく2つのパターンがあります。 効率的に進められるのは②。調査前に仮説を立てると、必要な情報が明確になるため、効率的な情報収集につながります」