「がん治療本の決定版」「後悔しない選択のために」目を引く帯のコピー 医師たちが発信を続ける理由
がんによる「離職」を防ぐために
近年、課題となっているのが、がんを宣告された時に仕事を辞めてしまう患者さんが多いことだといいます。 <国立がん研究センターなどの2015~2018年の調査では、「がんの疑い」と説明を受けた時点で3割が離職を検討。5.7%は確定診断を受けるためにがんの専門病院を初めて受診するまでの間に離職しており、「びっくり離職」とも言われています> 【関連記事】がんの疑いに「びっくり離職」 防ぐためにどう支える? https://asahi.com/articles/ASN2551YHN23ULBJ01P.html 中釜さんは「治療も進歩し、がんの治療と仕事は両立できる時代です」と話します。 山本さんは「すぐに辞めてしまう方もいらっしゃるので、国立がん研究センター中央病院では『患者サポートセンター』を案内し、仕事は辞めないでと伝えています」と話します。 同院では、2016年から「患者サポートセンター」を開設し、患者や家族のさまざまな困りごとの相談に応じているそうです。 ほかの地域でも、国の制度で、無料で相談できる「がん相談支援センター」ががん診療連携拠点病院などに設置されています。
患者さんへ「読みやすいように」意識
ライターが医師にインタビューし、書き起こして医師たちが確認する……そんな作業を重ねて数年ほどかけてつくった今回の書籍は、すでに3刷。 監修に関わった医師は少なくとも17人にのぼり、「患者さんが読みやすいように」ということを意識したそうです。 中釜さんは「がんの患者さんやそのご家族だけでなく、普段は直接がんの診療には携わっていない医療関係者の方も、この本を読むとがんの最先端の専門的な情報が一気に分かるのではないかと思います」と話します。 「病気を見つけられるのがイヤで病院に行きたくない…という方もいらっしゃると思います。でも、推奨されるがん検診を受けて早い段階で見つけることができれば、治療成績もずいぶん上がってきています。ぜひ本やサイトで根拠のある情報を得て、不安感を減らしていってほしいです」