投資トラブルで地獄を見た「TKO・木本武宏」今だから語る真相 発覚後に頭をよぎった「最悪の選択」
■将来への不安と仮想通貨との出会い ――だまされたと分かったとき、どういうご心境だったんですか? まずは、これも自分を責めているんですけど、「まさか俺が」って思う自分がいたという。何かの間違いやと思っていました。相手と連絡がつかなくなったときも、第三者は「それだまされたね」って言うんだけど、(自分の中には)「何かトラブルがあっただけ」って言って守る自分がいて。でもそれは彼を守っているんやなくて、詐欺なんかに引っかかるわけないという自分をまだアピールしようとしているだけだったんだと思います。だまされたんやと思った瞬間に、もう何も手につかない。何もやる気が起こらない。でも放っておくわけにはいかない。だから本当に息からがらで毎日対処しようと頑張っている感じでしたね。 ――どういう人がだまされやすいとか、こういう心境だと危ないとか、そういうのはありますか? 答えはもちろん俺には分からないんですけど、ただ「お金を稼ぎたいから」「お金が必要だから」と思っている人は投資はすべきじゃないと思っています。まさに自分も仕事が安定しないという不安が募った時に、焦って投資に手を出してしまったと思っています。 ――木本さんほどの方でもですか? テレビのとある番組を分析して、どんな芸人が呼ばれるか、枠を考えてみたんです。50代の芸人を呼ぶなら、もっとキャラが立っていて、明確な役割がある人が呼ばれるなと。少なくとも自分ではないなと思って焦りました。 ということは、今後は仕事がかなり減っていくと思って、「どうしよう」「事業をするノウハウもないし能力もない」と思っているときに仮想通貨に出会ってしまい、興奮を覚えてしまいました。
■被害に遭って気づいたこと ――どうすればだまされなかったと思いますか? 後悔とか、こういうことをしておけばよかったというのはありますか? もちろん一言で言うたら、勉強しておけばよかったし、もっと言うと、コツコツとちゃんと勉強してやっている人に聞けばよかったです。「投資ってどんなものなんですか?」って。「こういうのもあるからあかんよ」とか「こういうのは面白いよ」とか意見をもらっておいたらよかった。でも、お金のことを人に聞くのはすごい恥ずかしい(と思う)自分がいて。貯金がいくらあるとか、そんなこともなかなか言い合わない社会じゃないですか。 ――被害に遭って気づいたことはありますか? 今、コントの全国ツアーをしていて、各地にチケットの手売りに行ったりもしていて、全国の人と話す機会が結構あるんです。「実は、私も詐欺にあってしまって。家族にも言っていないんですけど、木本さん聞いてください」ということがとても多くて。DMでも来ます。でも、相談のDMをもらっても全部返せないから、今回、KADOKAWAさんから(投資トラブルの)経験と気づきを踏まえた本を出させてもらうんですよ(4月12日発売)。そこに、俺はどういう奴ですっていうのも全部書いています。とにかくそれを読んで、だまされないでくださいという気持ちです。 ――なんというタイトルの本ですか? 『おいしい話なんてこの世にはない』。おいしい話なんてほんまにない。