そんなもんに頼るならMT乗るなよ……なんて言わずに使ってみ! 昭和のMT乗りでも頭を垂れる最新MTのお助け機能
MT車の面倒操作をクルマ任せにすればこんなに楽だったんだ
クルマはMT車!! そんなクルマ好き、運転好きのドライバーにとって、いまはクルマ選びに苦労する時代だ。なにしろここ最近のMT車比率は1%といわれ、マツダはまだMT車が比較的多く用意されているものの、主にスポーツカーに用意される程度で、かつてあったトヨタのカローラスポーツやC-HRのMT車も消滅。 【写真】つまりどういうこと? 9速ATと6速MTを1台で使える夢のクルマ「ケーニグセグCC850」とは 筆者のように昭和の時代にMT車の教習車で免許を取り、最初のころの愛車もMT車(いすゞ117クーペやファミリアGT)だった世代にとっては寂しい限り。とはいえいまはAT、というよりCVT、そしてモーター駆動のEVでは、トランスミッションという概念さえない(一部、トランスミッション搭載車もある)。 スタートボタンを押し、Dレンジに入れるだけで走り出すことができ、シフターやパドルシフトでのシフトアップ/ダウンも可能。とくに日本の渋滞路では2ペダルのAT、CVTのありがたみを感じさせるシーンは少なくない。なにしろポルシェなどのスポーツカーでさえ2ペダルで乗っている人が多い時代であり、下手にMTをクラッチ&シフト操作するより、電子制御ATの電光石火のシフトで加速したほうが速い場合もあるほどだ。 しかし、それでも手動でギヤチェンジする楽しみ、クルマを自身でコントロールしている実感が得られるダイレクト感ある走りを望むドライバーにとっては、MT車の走る喜びにこだわる人もいるはずである。 そんなMT派が「余計なお世話」と感じるMTの機能がある。まずは自動ブリッピング機能だ。そう、シフトチェンジ時に自動的にエンジン回転を合わせてくれる機能で、たとえばフェアレディZのシンクロレブコントロール、カローラスポーツのiMT=インテリジェント・マニュアル・トランスミッションがそれにあたる。 実際のところ、特別な技術なしにマニュアル車を痛快に走らせることができ、トヨタのiMTはエンスト防止機能まで備わっているのだから、MT車初心者からベテランMT車ドライバーまで、幅広い層にMT車の使いやすさを実感させてくれるはずだ。「そんなもんいらん」というMT至上主義ドライバーだって、一度体験する価値はある。 筆者もそうだったが、MT車の乗り始めでは、坂道発進は鬼門。クラッチとアクセルの微妙な操作が必要で、うっかりしているとズリズリと坂道を後退。うしろのクルマにぶつかる危険とともに、同乗者に対して恥をかく場面にもなり、カッコ悪い。 が、いまどきのMT車の多くにはそれを見越したヒルスタートアシストという機能があり、ブレーキから足を離してもクルマがブレーキを3秒程度ホールドしてくれる。その間にクラッチをミートすればOK。後ろに下がる心配はまずなく、もちろん、パーキングブレーキをかける必要もないから便利なのだ。 そんなもんなくてもボクは絶妙にクラッチミートし、坂道発進も困らない……というMT派もいるはずだが、坂道の大渋滞を経験すれば、その有難みが染みるはずである。デートカーとしてMT車でブイブイいわせたい、坂道発進で恥をかきたくないドライバーにとってはなおさらの神器となりうるのである。