WBC侍J米国行きの裏に千賀と小林のフォークを巡る信頼感
そのラッキーボーイぶりは、この日もとまらず、勝負の分岐点となった5回には、筒香の一振り、松田のタイムリーで3点を奪い、なお一死二、三塁で、フルスイングがあたりそこねのゴロになって三塁前へ。まるでスクイズみたいなゴロになったのだ。鈴木がホームイン。しかも、イスラエルのピッチャーと三塁手が交錯して一塁への送球がそれた。オーバランした小林は、走塁ミスで封殺されかけたが、これもうまくクリア。ビッグイニングを演出することになる。 「どんな形でもいいので点が欲しかった。オーバーラン? そうですね。結果オーライです」 ついている男はどこまでもついている。一塁を回った後の走塁について、さらに報道陣から突っ込まれると、「今日は、そこですか?」と、ジョークでやり返す余裕もあった。 1次、2次ラウンド6試合の成績は、打率.444、1本塁打、6打点。打率は出場国で17位。日本人選手の中では.450で16位つけている坂本勇人(巨人)に続いて2位である。 もう立派な「最強の9番打者」である。 消去法で先発候補が次から次へと消える中、千賀が菅野と共にアメリカでの準決勝、決勝戦の先発候補として急浮上してきた。小久保監督は、「向こう(アメリカ)の(乾燥した)気候に合うのか、乾燥したボールになじむのかという部分も見なければいけない。向こうに行ってから準決勝の登板を決めたい」と言うが、「第2のアメリカチーム」と呼ばれるほどマイナーリーガで固めた打線を1安打に封じた千賀を使わない手はない。 「1試合、1試合、勝つごとにチームの雰囲気はよくなっています。あっちにいってボールの感触やマウンドを確認した中で、どう対応できるのか、でしょう、もうここからの対戦は、メジャーの中心バッターがほとんどなので、楽しみたいとも考えています」 千賀がそう言うと、その隣の場所で小林は、「全員で勝ちにいく。世界一を目指します」と、目を輝かして言った。 侍ジャパンは、今日16日に空路アメリカへ移動。アリゾナでオープン戦を含めた最終調整を行った後、準決勝(21日)の地、ロス入りすることになる。注目の相手は、前回準決勝で負けたプエルトリコ、前大会の覇者、ドミニカ共和国、アメリカ、ベネズエラの4チームで争われているプールFの2位チームとなる。