トランプ氏再登板で変わる世界 ロシア、ウクライナ、中東への影響は 専門家「戦争を止めた実績を作りたい」アメリカ大統領選【報道特集】
ゼレンスキー大統領のこの発言には理由がある。今年4月にアメリカメディアが報じた、トランプ氏が示したとされる戦争の終わらせ方だ。 ワシントンポスト(4月7日より) 「トランプ氏はウクライナに圧力をかけ、領土の一部を放棄させることで戦争を終わらせることができると語っている」 停戦について、アメリカの外交に詳しい明海大学の小谷哲男教授は… 明海大学 小谷哲男教授 「基本的にはウクライナにより多くの譲歩を求めることになると思います。今もう既に占領されている領土に関しては軍事力ではなくて、その後の和平交渉後の外交交渉で取り返すべきだと言っている(共和党側の外交アドバイザー)グループがいます」 日下部正樹キャスター 「非常に悪い前例になってしまう気もしますけど」 小谷教授 「まさに自分がピースメーカー(仲裁人)として、この戦争を止めたというその実績を作りたいということだと思いますし、やはり今の国際法の基本は、力による現状変更を認めないということですけれども、おそらくそれはトランプ氏にとっての優先課題ではないのだと思います」 そして、選挙戦でトランプ氏を全面支援し、勝利宣言でも持ち上げられた実業家のイーロン・マスク氏にも注目が集まっている。 マスク氏率いる衛星通信サービス「スターリンク」が、ウクライナの戦場で使われているためだ。 小谷教授 「彼(マスク氏)もプーチン氏との個人的な関係があると言われていて、しかも彼は米軍にもスターリンクを供給していますから、米軍の通信の大きなインフラを提供している。米軍の秘密をもしかすると、マスク氏がプーチン氏に流しているのではないかという懸念もあります」 群を抜くテクノロジーを有するマスク氏は、外交でも無視できない存在となっている。 中東パレスチナ自治区ガザでの紛争にも、トランプ氏の再登場は変化を与えるとみられる。 日下部キャスター 「トランプ氏の立場は、圧倒的にパレスチナよりイスラエル支持ですよね」
小谷教授 「従来、ムスリム票はほとんど民主党の候補に流れていたのですが、今回トランプ氏に流れたということで、パレスチナ側の人道支援、あるいは民間人の保護というものも無視できなくなる可能性は否定できないと思います。完全にイスラエル一辺倒ということではなくなるかもしれません。イスラエルに譲歩を求めるということがありうると思います」 来年1月の就任を前に、早くもトランプ氏の思惑を世界が緊張して見守っている。
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