千原せいじ 「がさつ力」が海を越え世界中で通用する理由
アフリカも、東京から大阪行くようなもん
――せいじさんはテレビ番組で海外ロケをされていましたが、日本語で通しているのに言葉の壁を越えてちゃんと通じていましたね。 まずは笑顔。お腹が空いたらレストラン行ってこれくれとか、身振り手振りでじゅうぶん。あとはええ格好しない。アフリカも、僕からすると東京から大阪へ行くようなもん。アフリカの飢餓を救おうとか、僕にはそういう気はなくて、現地でぶらぶらしている若者がいたら「おまえらもっと働けよ」、子どもには「ちゃんと勉強せい」と。 ――アフリカでマサイ族を訪れた際に、村人に溶け込み、翌日にはマサイ族を引き連れて歩くようになっていたのには驚きました。 マサイ族は一夫多妻。子供たちが十数人、「自分の子は、どれ?」と聞いたら、「全部自分の子供」って言うから「自分、やるなあ!」と意気投合。そしたらみんな僕に従うようになって、それだけのこと。 ただ頼み事するときは、この人は怒りそうとか、実際何度もけんかになったこともありますし、勘を働かして声をかけていますね。おかしいと言われるかもしれないですけど、僕、人間みんな同じやと思うてるんです。だから同じ目線で話しかけると、言葉がわからなくても、難しい話じゃなければ、だいたいのことは通じます。 あとは、はっきり意思表示をすることは世界の常識です。自分が言いたいことをストレートに伝えないと通じるものも通じない。日本人が海外で誤解されやすいのはこれですね。僕はわがままかもしれんけど、そこはダイレクトだから。 ――海外ロケで印象的な思い出は何ですか。 アフリカ某国でトイレ休憩のドライブインがただの空き地でした。すぐ目の前で現地の中高生女子がそこで用を足している。なんちゅう教育の行き届いていない国や、と不機嫌になっていたら、コーディネーターが「内戦が終わったばかりで人目の届かない所に行くとゲリラに誘拐されるんです」と教えてくれた。 僕、本当に勉強不足で、自分の育った日本の常識だけで判断していた。だからもっと視野を広めるというか、いろんなものを受け入れられる人間にならないとあかんなと思いましたね。そういうことを知るのも、人から直接聞いたりするのが心に残ります。そのためには自分はアホだとわかったうえで、いろんなことを聞いて吸収する。僕流のコミュニケーションの基本はそこかもしれません。