千原せいじ 「がさつ力」が海を越え世界中で通用する理由
スマホ時代に「僕はじかに話しかける」
――「デリカシーがない」と言われるとご自身もおっしゃっていましたが、せいじさんは自分の性格をどう思いますか。 基本アホやし、僕、すっごい性格が悪いと思います。なんか自分が違うなと思ったらすぐ口に出して言うてしまうし。わがままやし、文句ばっかり言うし。俗に言うデリカシーない男なので、僕のことを嫌いな人は徹底的に嫌いやしね。「おまえ失礼やな」と本気で怒る人もいます。 コンビ組んで急に売れたので天狗になりまして。それでも劇場だけでは食えないから肉体労働のバイトをしていたんですが、仕事で四国に行ったとき、バイトで乗るようなボロボロのバンが迎えに来た。やっとの思いで売れたと思ったのに、「なんで、こんなきったない車に乗らなあかんのじゃ!」と文句をタラタラ言っていたら、なんとそのドライバーがうちの奥さんのお兄ちゃん。あとで電話がかかってきて、「最低やな」と。どうやらそういう人間みたいです。だからいまだに義兄とは仲が悪い(苦笑)。 ――当時の自分を振り返ってどう思いますか。 「はよ直せ!」って言います。「思ったことすぐ口にするな!」って言いますね。しかしなかなか直りません。 以前滋賀の焼肉屋さんにロケに行ったとき、普通にご飯食べていたら、お店の人が「こんな肉食えるか、とか言わんのか」。「なんそれ?」「怒って帰りいな」「むちゃくちゃ言うな。意味があって怒ってんのや」。僕、何でもかんでも噛みつく人っていうイメージみたいですね。 ――せいじさんはフラットで垣根を作らないように見えます。 僕、居酒屋でもどこでもすぐ話しかけるんです。基本的に悪い人はいないと思っているので。とっつきにくそうな人でも話してみると意外と面白かったり、エエ奴やったり。仲良くなるのに理由なんかいらない。警戒心がないと騙されるよと指摘する人もいますが、それに気づけるかどうかもその人次第。 今は人に直接話しかけるよりも、スマホに話しかける時代ですけど、僕はそこらへんの人を捕まえてじかに聞きます。そっちのほうが早いし、楽じゃないですか。 頼み事にしてもそう。自分ができないときはまず誰かに聞いてみる。 インターネットでつながるのもいいですけど、僕は知り合いにどんどん聞いていって、「ほな、頼むわ」「あかんか、ありがとう」とやっていますね。僕は自分ができないことを頼まれたら、できそうな人に声をかける。頼みぐせがあるかもしれません。ただ、そうやって友達の輪が広がっていくような気がしますね。 自分から人が嫌がることをやってみたり、例えば人が頼んできたことを断らないとか、ものを頼まれた相手のことを、なんやねん、こんなこと頼みやがってと思わない。そんな簡単なことだと思うんです。 いちばん大事なのは「ありがとう」という言葉。単純ですけど、そんなやり取りがあると、みんなとコミュニケーションはすごく取りやすい。僕、「すみません」という言葉よりも、「ありがとう」をめっちゃ言います。それともうひとつは笑顔。アフリカの部族で言葉が通じない相手でも、笑顔のコミュニケーションが一番です。