ECB、4回目25bp利下げへ-トランプ氏復帰や独仏混迷で不確実性
(ブルームバーグ): 欧州中央銀行(ECB)は12日に開く政策委員会の会合で、今年4回目の利下げを決定する見通しだ。インフレ率が物価目標の2%に近づく状況で、勢いを欠くユーロ圏経済の景気抑制緩和に動く。
ブルームバーグのアナリスト調査の結果によれば、中銀預金金利がさらに0.25ポイント引き下げられ、3%になると1人を除くアナリストのほぼ全員が予想した。JPモルガン・チェースだけは、最近のデータが成長とインフレの軟化を示唆していると主張し、より大幅な0.5ポイントの利下げを見込む。
ECB当局者は、景気の先行きを確かに不安視し、持続的な景気停滞に伴いインフレ率が目標を下回る水準に低下する可能性さえ懸念する。ドイツの連立崩壊やフランスの内閣総辞職にも頭を悩ませ、トランプ次期米大統領の経済アジェンダが欧州や米連邦準備制度にどのような影響を及ぼすか見極めようとしている。
そうした状況にもかかわらず、借り入れコスト引き下げを漸進的に進める方向が選好される傾向にある。最新の四半期経済予測は、来年の物価上昇率と国内総生産(GDP)成長率の鈍化を示すことになりそうだが、今後数カ月の軌道の決定に役立つと考えられる。
一時取り沙汰された0.5ポイント利下げが次回以降の会合の一つで決定される可能性は残ると投資家は考えるが、そうしたリスクの織り込みはほぼやめた。エコノミストらは、中銀預金金利が2%に達するまで、0.25ポイント刻みで連続的な引き下げが進められると想定している。
12日の利下げが最後でないという認識にタカ派の政策委メンバーでさえ同意しており、ECB声明の表現、特に「必要な限り政策金利を十分景気抑制的な水準に維持する」という部分は微調整があり得る。ただ、ECBは柔軟性を維持したいと考えられ、「会合ごと」のアプローチから離れる可能性は低い。
ECBの政策担当者らは、景気を抑制も刺激もしない理論上の境界値で、通常2%程度と考えられる中立金利を下回る水準まで政策金利の引き下げが必要かどうか検討し、さらに先の対応に備え始めた。