カジノ解禁で増加リスク指摘も 「ギャンブル依存症」とは?
安倍政権が成長戦略の目玉としている「カジノ解禁」。観光立国を目指し、秋の臨時国会で本格審議が始まる見通しです。これにともない、ニュースなどで「ギャンブル依存症」というキーワードを見かけるようになりました。 各メディアの報道によれば、厚生労働省調査班の調査から明らかになった日本でギャンブル依存症の疑いのある人は536万人。これは、成人人口の4.8%にあたります。諸外国の同様の調査では、アメリカ(2012)1.58%、フランス(2008)1.24%、韓国(2006)0.8%。これらの平均が1.0%前後であることから、日本におけるギャンブル依存症の有病率が突出した高さとなっていると報じられました。 なぜ、日本人はギャンブル依存症の割合が高いのでしょうか。そもそもギャンブル依存症とはどういう状態なのか。そこから抜け出す方法は……こういった疑問について、北里大学東病院の精神神経科科長宮岡医師に聞きました。
ギャンブル依存症とはどんな状態か
「ギャンブル依存症は、概ね『ギャンブルをしたいという気持ちが強く、ギャンブルに熱中して社会生活に破綻をきたした状態』を指します。ただし、単なるギャンブル好きとの線引きが難しく、どこから病気として捉えるかは慎重に議論する必要があります」 米国では、1980年代にギャンブル依存症を病気として位置づけています。1994年にアメリカ精神医学会が刊行した「精神疾患の分類と診断の手引き 第4版」では、「ギャンブルが常に頭から離れない」「ギャンブルをやめたいと思うけどやめられない」「ギャンブルをしているのに、していないと嘘をつく」など、10項目のうち5つの項目に当てはまると、ギャンブル依存症と診断されます。日本でもギャンブル依存症を対象としたスクリーニング・テスト(注:詳しい診察を受けるべき人を選ぶための検査であり、これで診断がつくわけではありません)があり、質問の回答から算出した点数で判断。日本人はこの数値が高い傾向にあるといわれています。