「観客のいる甲子園に家族を」 流れを変える本塁打、高松商の橘選手
(3日、第77回秋季四国地区高校野球大会準決勝 新田3―5高松商) 重たい空気を吹き飛ばす1発だった。 【写真】新田―高松商 八回裏、同点に追いつく2打席連続本塁打を放ち、三塁を回る高松商・橘=2024年11月3日、高知県立春野、中川壮撮影 直前の八回表、新田に1点を加えられ2点差で迎えた八回裏。高松商の3番打者・橘朋宏選手(2年)は、新田の當眞(とうま)嗣胤(しづき)投手が投げた直球を振り抜いた。2打席連続の本塁打で一挙に2点を返し、高松商打線に勢いを取り戻した。続く唐渡大我選手も三塁打を放つなど、打線はさらに2点を加える猛攻をみせ、一気に勝ち越しに成功した。 先週の高知中央戦ではチームで唯一無安打だった。橘選手は「3番なのに無安打でチームに迷惑をかけた」。1週間、身体に引きつけて打てるよう打撃姿勢の改善に取り組んだ。試合を振り返り「結果が出て良かった」と安堵(あんど)した。 5学年上の兄・孝祐さんは、19年に尽誠学園で四国大会を準優勝し、翌年の選抜出場を決めていた。しかし、コロナ禍で大会が中止になり、無観客となった交流試合に出場した。夢舞台を目前に橘選手は「お兄ちゃんの時は無観客の甲子園だった。家族を観客のいる甲子園に連れて行きたい」と話した。 長尾健司監督は「3点目をとられた時には負けたかと思ったが、(橘選手の本塁打に)元気づけられました」と橘選手をたたえた。(木野村隆宏)
朝日新聞社