ミドル級統一戦の当日計量オーバーで罰金1億円!
WBC世界ミドル級、WBA世界同級スーパー王者のサウル“カネロ”アルバレス(28、メキシコ)は4日(日本時間5日)、米国・ラスベガスのT-モバイル・アリーナで、IBF同級王者のダニエル・ジェイコブス(32、米国)を3-0の判定で下して3団体統一に成功した。ESPNによると敗れたジェイコブスは、特別ルールとして取り決められていた当日計量に失敗、100万ドル(約1億1000万円)の罰金を科せられたという。まさに踏んだり蹴ったりのベルト喪失となった。また勝ったアルバレスの気になる次戦については、元統一王者、ゲンナジー・ゴロフキン(カザフスタン)との3度目の対戦だけでなく、WBO世界同級王者、デメトリアス・アンドラーデ(米国)との4団体統一戦、WBA世界スーパーミドル級王者のカラム・スミス(英国)、WBO世界ライトヘビー級王者のデメトリアス・アンドラーデ(米国)との階級を越えたビッグファイトがプランとして挙がっている。
1.6キロ超過で約1億1000万円の罰金
注目のミドル級の統一戦は試合前から波乱が起きていた。前日計量をアルバレスは、ミドル級のリミット160パウンド(72.6)よりアンダーの159.5パウンド(72.3キロ)、ジェイコブスも160パウンドジャストでクリアした。だが、IBFは試合当日朝の計量で10パウンド以上の増量を認めておらず、今回は統一戦のため、そのルールは採用されなかったが、両者は、当日計量で170パウンド(77.1キロ)を超えた場合には1パウンド(0.45キロ)ごとに25万ドル(約2750万円)の罰金を科す条項を結んでいた。アルバレスは、当日計量を169パウンド(76.7キロ)でクリアしたが、一方、ジェイコブスは173.6パウンド(78.7キロ)で、3.6パウンドオーバー(1.6キロ)。ジェイコブスは、なんと100万ドル(約1億1000万円)の罰金を支払うことになったのである。ちなみにジェイコブスの今回のファイトマネーは、1000万ドル(約11億円)以上だが、体重超過の罰金が約1億円とは桁違いだ。 ジェイコブスはパワーでアルバレスに勝つために確信犯的に体重を戻していたようだが、「オレは元々ミドル級としては体がでかいんだ。173ポンドになってしまったが、最終的には罰金という犠牲を払ったんだ」とコメントしていた。 だが、いざゴングが鳴るとジェイコブスは、その体格差を生かすことができず有効打も少なかった。スイッチをしながら主導権を握ろうとして9ラウンドには左フックをヒットさせるなど終盤に盛り返したが、ダウンにまでつなげることができず、序盤、中盤には、アルバレスが仕掛けるラッシュに対して防戦一方となる場面も。いわゆるジャッジに与える見映えが悪かった。 ESPNによると、アルバレスは466発中188発(40%)をヒットさせたが、ジェイコブスの効果打は、649発中131発(20%)しかなかったという。採点は115-113が2人、116-112が1人で3者共にアルバレスを支持。試合が終わった瞬間、ジェイコブスは「自分が勝ったと思った」と言うが、優越をつけるのが難しいラウンドが中盤にいくつかあり、ジャッジの印象はアルバレスに流れたようだ。だが、両者共に決定打に欠き、試合後はブーイングが会場を包んだ。 ちなみにCBSスポーツの独自採点は114-114のドロー。同記事の戦評は「前王者のゲンナジー・ゴロフキンとの2度の戦いとは違い、アルバレスの勝利はバラエティーに富んだチェスのような試合だった。彼はパワーパンチを120発打ち込み、ジェイコブスの89を上回ったが、論争を呼んだゴロフキンとの2度の戦いのようにスコアカードの結果は疑問を呼ぶものだった。戦いは緊迫していたが、両選手は、それぞれのボクシング能力とお互いのパンチ力への恐れから慎重な戦いを強いられ力強いパンチをクリーンヒットすることに苦労した。だが、戦いには流れがあり、中盤までアルバレスの支配が続いたところからジェイコブスが見事に挽回を見せた」というものだった。