熱伝導率が高いアルミ製と保温性に優れたステンレス製「トランギアに聞く、クッカーの基礎知識」【vol.03 素材の違いとメンテ】
アウトドアで料理を楽しむ際、ぜひ持参したい調理器具「クッカー」。軽量化を図るため、その多くがアルミ製ですが、それ以外の素材のものもあるようです。その違いと使用後のお手入れ方法について、スウェーデンの老舗メーカー「トランギア」を展開するイワタニ・プリムスの広報担当・鈴木伶氏に、解説してもらいました。 【写真】素材によって異なる熱伝導性の違いを見る(全3枚)
熱伝導率が高いアルミ製のものが主流
アウトドアに出かける際には、できるだけ荷物を軽くするのが基本です。したがって、調理に必要なクッカーも軽量化を図るため、アルミを使用したものが主流です。 「トランギアのクッカーも、9割以上が軽量で薄いアルミ素材のものです。アルミは熱伝導率が高く火が通りやすいので、お湯を沸かしたり、調理したりする際により短い時間ですみます。 ただし、すぐに熱くなるため触るとヤケドしやすく、薄くて外からの衝撃に弱くへこみやすいので、扱う際には注意しましょう」
煮込み料理には保温性の高いステンレス製も
アルミ以外の素材を使ったクッカーも存在します。 「アルミは熱伝導性が高く、早く熱くなるのがメリットですが、その分、外気からの影響も受けやすく、特に冬場は早く冷めてしまいがちです。その点、熱伝導性が低いステンレス素材のほうが保温性は高く、長い時間をかけて火を通したい煮込み料理などに適しています。 そこで、トランギアでは一部、内側にステンレスを使った鍋を用意しています。シチューや煮込みなどを作るのに最適です」 「ツンドラ3 デュオーサル」のソースパンは、熱伝導率の高いアルミを外側、耐久性の高いステンレスを内側に使用した二重構造になっていて、火の回りのよさと丈夫さを兼ね備えています。 このほか、アルミより薄くて軽く、硬度や耐久性が高いチタンを用いたクッカーもあります。より軽さを追求する「ウルトラライト志向」にマッチするものです。ただ、チタンは熱が均一に入りにくく、コスト面でも難点があるので、トランギアでは現在作っていないそうです。
使用後は水洗いしてよく乾かしてから保管
クッカーは素材にかかわらず、家庭用の鍋やフライパン同様、使ったら洗って十分乾かしてから保管します。 「基本的には、家庭用と同じように扱えばOKです。ただし、食洗機は使えません。使用後は中性洗剤などを使って洗い、汚れを落とします。キャンプ場ですぐに水が使える場合はその場で洗い、難しい場合はひとまずティッシュなどで表面を拭いておき、帰ってから水洗いするといいでしょう。 ノンスティック加工が施してあるものはこびりつきにくく、油を塗るといった特別な手入れも必要ありません。洗った後はよく乾かしてから収納袋に入れて保管します。直射日光が当たる場所や湿気が多い場所は避け、屋内で保管しましょう」 クッカーはそのつど汚れを落として大事に扱えば、ずっと長く使えて安心です。
塩田真美