「マルニ」の新CEOに親会社OTB会長の息子が就任
父親レンツォ・ロッソの評価と期待
レンツォOTB会長は、「『マルニ』は、この数年で世界的に確固たる地位を築いたユニークなブランドであり、ステファノはラグジュアリー市場における『マルニ』のポジショニングを加速させるという重要な責務を担うことになる。この新たな役職は、彼のプロとしてのキャリアをさらに前進させるものだ。『マルニ』の象徴的な個性を高め、さらに幅広い層にリーチする上で、彼の国際的な経験と革新的なビジョンが決め手になると信じている」とコメント。「今は『マルニ』にとって特別なタイミングだ。(クリエイティブ・ディレクターの)フランチェスコ・リッソ(Francesco Risso)は、東京でショーを開くなどして多様性あふれる素晴らしいコミュニティーを作り上げてきた。フランチェスコは、『マルニ』を若返らせてフレッシュな輝きをもたらしてきており、現在はクリエイティビティーの全てをさらなる成長に注ぎ、事業を推進し、産業計画をリードする絶好のタイミングだった。大きな挑戦であり、ステファノにとってもOTBグループにとっても極めて重要だ」と続ける。
幅広い経験を積んできたステファノCEOの能力については、「合理的かつ地に足がついていて、賢明。さらに先見の明がある。私はより衝動的だが、彼は私にじっくりと物事を考えさせることが多く、私を補完してくれる」と評価。「ステファノとフランチェスコがいれば、『マルニ』は真のラグジュアリーブランド、そして重要なインターナショナルブランドになれるだろう」と話す。
2024年も日本と中国に注力
OTBの23年12月期の売上高は、前期比9.1%増の18億ユーロ(約2988億円)だった。ブランド別の売上高は公表されていないが、「マルニ」「ジル サンダー」「メゾン マルジェラ」が属するラグジュアリー部門は現地通貨ベースで同17.6%増。23年に16店舗のブティックをオープンした「マルニ」は、同8.6%増を記録した。現在の店舗数は、単独店とコーナー、アウトレットを合わせて108。中でも、日本はブランドにとって常に強力なマーケットであり、24年も引き続き日本、そして中国市場の発展に注力するという。今年はすでに東京・渋谷スクランブルスクエアや中国の蘇州倉街、マカオのギャラリー・ラファイエットにブティックをオープンしており、今後数カ月間にシンガポールや名古屋での出店も控える。
ミラノ・ファッション・ウイークの常連でもある「マルニ」は、22年9月からニューヨーク、東京、パリとシーズンごとに異なる都市でショーを開催した後、今年2月にミラノにカムバックした。また、2月には米化粧品大手のコティ(COTY)とフレグランスおよびビューティ製品の開発・製造、販売に関する20年間のライセンス契約を締結。26年のフレグランス発売を皮切りに、ビューティラインを立ち上げる予定だ。