「めっちゃ重い…」90年代の名作恋愛ドラマ「悲しすぎる最終回」 当時15歳・深キョンの名演技も…
■HIVへの偏見に警鐘を鳴らしたドラマ『神様、もう少しだけ』
『神様、もう少しだけ』は、1998年7月からフジテレビ系列で放送されたドラマである。当時社会問題になっていたエイズウイルス(HIV)をテーマにしたドラマで、話題性もあり視聴率は高かった。 深田恭子さん演じる主人公・叶野真生は、金城武さん演じる人気音楽プロデューサー・石川啓吾のライブチケットが欲しい一心で援助交際をしてしまう。 その後、真生は啓吾と知り合い愛し合う仲に発展するのだが、そのとき真生の体はHIVに感染していた。エイズ発症への恐怖を抱えつつ、二人が向かう愛の行方はどうなるか……という物語だ。 90年代当時、エイズは“不治の病”だと恐れられていた。91年にQUEENのボーカル、フレディ・マーキュリーさんがHIV感染で死去したことも大きなニュースとなったが、感染した人への過剰な差別も問題になっていた。 『神様、もう少しだけ』はそのような社会に警鐘を鳴らすべく、HIVに対して正しい知識も発信したドラマだ。ドラマでは真生の援助交際やいじめ被害、自殺未遂など重い展開が続く。最終回、真生は啓吾と永遠の愛を誓い、病と闘う身でありながら、命をかけて愛娘を出産。しかし、結婚式の当日、真生は倒れ、帰らぬ人となってしまう……。 そんな衝撃的な結末でも、病気を受け入れて一生懸命生きる真生の姿に、この病気への考え方をあらためた人も多かっただろう。 このドラマで印象的だったのが、真生と啓吾の長いキスシーンだ。ゆっくりと唇を重ねるシーンには、制作陣からの“HIVはキスでは感染しない”というメッセージが込められていたという。 この難しい役柄に臨んだ深田さんは、当時なんとまだ15歳。ミステリアスなアジアのスター・金城さんとの共演もマッチし、最終回の視聴率は28%以上に及んだ。
■女性同士の友情と恋愛をピュアに描いたドラマ『素顔のままで』
『素顔のままで』は、1992年4月よりフジテレビ系列の月9枠で放送されたドラマだ。 このドラマは、歌手の中森明菜さんと安田成美さんのW主演。中森さん演じるミュージカルスターを目指すカンナと、安田さん演じる司書の優美子は、ひょんなことから同居をする。 優美子は学生時代に中絶した過去を持ち内向的な性格であったが、カンナとの出会いがきっかけで徐々に前向きになっていく。そんな2人の友情や成長、それぞれの恋愛を描いたドラマだ。 カンナと優美子は正反対の性格ゆえ何かとぶつかっていくが、同じ男性を好きになる。このあたりの展開は90年代ドラマのあるあると言えそうだ。ちなみに2人から愛される一也役を演じたのは東幹久さん、カンナに片思いをする卓郎役は的場浩司さん、優美子の見合い相手の義彦を演じたのは鶴見辰吾さんだった。 そして本作もまた、衝撃的な最終回を迎える。一也との子どもを身ごもった優美子は、心臓に病を抱えていた。しかし、命への危険をわかったうえで出産を決意し、結果、亡くなってしまう。カンナは、残された優美子の子ども・優奈の母親がわりとなるのだった――。 最後はやや悲劇的なストーリーだが、女の友情が最後まで輝く展開に多くの人は感動したはず。近年ではあまりメディアに出ない中森さんの演技も見どころで、ややハスキーがかった声で優美子につっかかり、叫んだり号泣したりする姿が印象的だった。また、米米CLUBが歌った主題歌『君がいるだけで』も大ヒットし、シングルは驚異の289万枚を売り上げることとなった。 90年代は“テレビドラマの黄金期”とも呼ばれており、たくさんの話題作が誕生した。今回紹介した3本のドラマもその時代を象徴する作品であり、無償の愛やHIV、友情と恋愛など重厚なテーマが多かった。 しかし悲しいラストだからこそ、視聴者にとっては忘れられない思い出深い作品になったのだろう。
でかいペンギン