オーストリア議会、極右を議長に選出 史上初
【AFP＝時事】オーストリア議会は24日、初めて極右議員を議長に選出した。この議員は、同国の大規模なユダヤ人団体から、「ナチス・ドイツ（Nazi）の犯罪者を称賛した」ことがあると非難されている。 【写真9枚】オーストリア議会議長に選出されたローゼンクランツ氏 極右・自由党（FPOe）は先月の下院選で有効投票総数の約3分の1を獲得して初めて第1党となったが、連立相手を見つけられず組閣できていない。 だが、第1党として、弁護士で元大統領候補でもあるワルター・ローゼンクランツ（Walter Rosenkranz）議員（62）を議長に指名した。 退任するウォルフガング・ソボトカ（Wolfgang Sobotka）議長は選挙後初の議会開会式で、秘密投票でローゼンクランツ氏が有効投票162票中100票を獲得し、議長に選出されたと明らかにした。 ローゼンクランツ氏投票後の演説で、同国の反ユダヤ主義との闘いを継続すると明言。自身がユダヤ人コミュニティーに対する脅威であるという非難は「でたらめ」だと一蹴した。 ローゼンクランツ氏は1981年以来、「リベルタス（Libertas）」という極右の学生社交組織に所属している。同団体の憲章にはかつて、1878年に制定されたユダヤ人の統合を禁止する一文があった。 同氏は先に現地メディアの取材に対し、「この一文は大昔に廃止された」と述べ、「インターネットではあらゆるものが掘り起こされる可能性がある」と強調した。 議長選挙を前に、ウィーン・ユダヤ人コミュニティー（Jewish Community of Vienna）のオスカー・ドイチュ（Oskar Deutsch）代表は議会に宛てた公開書簡で、ローゼンクランツ氏は「修正主義陣営」の人間であり、「ナチスの犯罪者を公然と称賛」していると非難。 ホロコースト（Holocaust、ユダヤ人大量虐殺）犠牲者の代表する、オーストリア・マウトハウゼン委員会（Austrian Mauthausen Committee）は声明で、「ドイツ的民族主義と反ユダヤ主義という時代遅れの環境になじむ人物は誰であれ、議長として認められない」と述べていた。【翻訳編集】 AFPBB News
