生物をミイラ化、おぞましい核の墓場、難破の名所など、世界の「不気味な湖」5選
タンザニアのナトロン湖から南極のボストーク湖まで、世にも奇妙な湖とその科学
TikTokクリエーターのジオ・ラザフォード氏は毎年10月に「不気味な湖月間(Spooky Lake Month)」と題した動画シリーズを配信している。氏のアカウントは累計7000万の「いいね」を獲得、フォロワー数は170万人に上る。最近では『不気味な湖(Spooky Lakes)』という本も出版した。 ギャラリー:この世の果て? 地獄のような絶景写真12点 とはいっても、幽霊や湖にすむモンスターを追っているわけではない。ラザフォード氏が探るのは、有害な化学物質に汚染されていたり、地質が珍しかったり、あるいは保存状態のよい遺体が残ったりしている湖だ。「湖は、川やほかの水域にはないものを残します。湖は、いわば過去の保管庫です。ですから、長い年月を経ても、元の状態をとどめた難破船や遺体までもが見つかるのです」と、ラザフォード氏は語る。 「自然界というのは、それ自体が奇妙なのです」とラザフォード氏。ハロウィンをひかえたこの時期にふさわしく、ナショナル ジオグラフィックは、ラザフォード氏が推す「不気味な」湖を5つ教えてもらった。
ナトロン湖、タンザニア
この湖の性質は実に興味深い。湖に落ちてしまった生物をミイラのようにしてしまう。古代エジプトで遺体を乾燥させたのと同じように、生きものを完全に干からび(石灰化)させるのだ。 古代エジプト人は(ミイラを作るときに)ナトロンを使った。この湖は、まさにナトロン(炭酸塩鉱物)のプールだ。つまり酸性の反対、アルカリ性だ。ナトロン湖のすぐそばには火山があり、そのため非常に特殊なタイプの溶岩が湖に流れ込み、奇妙な化学作用に一役買っている。 でも、湖に生物がいないわけではない。何百万羽ものフラミンゴがこの湖にやってきて、繁殖し、藻類を食べている。
カラチャイ湖、ロシア
地球上で最も汚染された場所の1つ。ウラン処理施設から出た放射性物質をこの湖に全て廃棄していた悪習がその原因だ。 放射能のレベルが極めて高く、この施設やこの地域がたどった歴史は興味深い。世界で最も放射能に汚染された湖の1つとされたが、やがて湖は徐々に干上がり、湖の堆積物が飛散して周辺の村や人々を汚染するようになった。 カラチャイ湖はもう存在しない。非常に危険だとして、コンクリートブロックで埋め立てて、封じ込めねばならなかったためだ。