"19世紀の金言"は現代のウクライナ情勢にも当てはまるか
銃声は今もウクライナ国内で鳴り続けている(写真:ブルームバーグ)
「砲声が聞こえたら買え、(勝利の)ラッパが聞こえたら売れ(Buy on the sound of cannons, sell on the sound of trumpets.)」とは、よく聞かれる言い伝えである。要するに「戦争が始まったら株は上がり、終われば下がる」という主張である。 「砲声で買え」は、19世紀の大富豪ネーサン・ロスチャイルドの言として有名である。ところが、ロンドンのロスチャイルド文庫を調べた研究家ハーバート・カプランは、ロスチャイルドがこれに類することを言った記録はまったく見つからないという。カプランは、これを世に問うに値する発見と考え、その旨をウォール・ストリート・ジャーナルに寄稿している(2006.7.28 Opinion:Great Quote -- However, Rothschild Didn't Say It)。 本人が言ったか否かは別にして、「砲声で買え」とは、初代ロスチャイルドの生きた時代(1777~1836年)から伝わる、伝統ある名言である。念のため、ここにいう「砲声」とは、文字どおり戦闘の火ぶたが切られることで、災害や金融危機といった有事一般を含むものではない。
本文:3,359文字
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蟹分 解