日本農薬、上方修正のカギを握るブラジル事業の実力度
ブラジルにあるワタ農場には、日本農薬の殺虫剤が散布されているところも(写真提供:日本農薬)
農薬専業大手の日本農薬(4997)は8月9日、今2023年3月期第1四半期業績の発表と同時に2023年3月期の通期業績計画を上方修正した。売上高は913億円から980億円(前期比22.3%増)に、営業利益は69億円から88億円(同52.7%増)に、純利益は45億円から54億円(同22.6%増)へと引き上げた。 同社は2020年3月期以降、期中の上方修正を繰り返してきた。とはいえ、第1四半期でのここまで大幅な修正は異例だ。 要因の1つは円安効果。1ドル=115円、1ユーロ=125円の期初計画を修正し、1ドル=130円、1ユーロ=125円とした。足元のレートはさらに円安で推移しており、修正した営業増益幅はなお保守的との見立てもできる。 もう1つの要因が、ブラジル事業。子会社を通じた農薬の販売が想定以上に好調だった。 同社の株価は、2022年初の1月20日につけた最安値483円から6月8日に964円へと倍化。その後の全体相場の悪化で650円前後まで調整が入ったが、今回の上方修正を受けて8月30日には883円まで戻した。 9月に入ってからは850円前後でモミ合う展開が続くが、モミ合いから上放れて6月の年初来高値を奪回するカギは、同社の成長を担うブラジル事業が握っていそうだ。
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古庄 英一