「尹大統領夫人嫌疑なし」へ突き進んだ韓国検察にブレーキ…大統領夫妻の処分の答は
「(尹錫悦大統領夫人の)キム・ゴンヒ女史ブランドバッグ受け取り事件」について開かれた2つの最高検察庁捜査審議委員会(捜審委)が相反する判断を下したことで、検察の苦悩は深まっている。「キム・ゴンヒ女史嫌疑なし」へと向かって疾走している途中で、巨大な暗礁に乗り上げた格好だ。 今月6日、キム女史を被疑者とする捜審委が請託禁止法違反、収賄、斡旋贈収賄、職権乱用、弁護士法違反容疑にすべて不起訴を勧告したことで、ソウル中央地検の捜査チームは力を得たようにみえた。チェ・ジェヨン牧師による捜審委開催要請を併合して処理することもできたが、検察はこれを分離した。「キム・ゴンヒ捜審委」にチェ・ジェヨン牧師は参加できず、キム女史の法律代理人と捜査チームのみが出席して一斉に嫌疑なしを主張し、結局は不起訴勧告が下された。 これを根拠として、検察はキム女史を嫌疑なしとして事件を終結すると思われたが、4日後にブレーキがかかった。外部の関係者からなるソウル中央地検単位の検察市民委員会がチェ牧師の要請を受け入れ、改めて最高検察庁の捜審委の招集を決めたのだ。検察外部の専門家プールから捜審委が無作為に改めて構成された。24日の「チェ・ジェヨン捜審委」には、チェ牧師の代理人が出席して起訴を主張、捜査チームが不起訴を主張した。チェ牧師側はまた、検事が調査過程で、チェ牧師がキム女史に要請したものは「請託とみることはできない」という論理をまず提示し、このような答えを誘導したと主張した。それを立証するために、調査過程を含む音声ファイルも再生したという。捜審委員からの質問が相次いだため、2時間近く質疑応答が行われた。 8時間30分の審議の末、捜審委はチェ牧師の請託禁止法違反容疑に対して、8対7で起訴を勧告した。ある捜審委員はハンギョレに「(キム女史が受け取った金品の)職務との関連性の範囲を広くとらえるか、あるいは狭くみるかが最重要争点だった。それを判断するために、大統領の業務とチェ牧師が金品を渡した時期、請託があった時期について様々な意見が出された」として、「捜審委員が非常に熱心に質問し、審査したため、1票差というきっ抗した結論が出された」と語った。 「チェ・ジェヨン捜審委」でキム女史が受け取った金品の職務との関連性が認められたことで、検察はひとまずキム女史と尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の刑事責任を再検討しなければならない状況に追い込まれた。公職者の配偶者の処罰条項は存在しないため、キム女史が受け取った金品の職務との関連性が認められても、キム女史を請託禁止法違反で起訴することはできない。ただし、職務との関連性に加えて対価性まで認められれば成立する斡旋収賄や弁護士法違反の容疑も検討しなければならない。尹大統領の刑事責任は、より直接的だ。請託禁止法によると、公職者は、配偶者が「受け取り禁止金品」を受け取ったことを知った場合、書面で届け出なければならず、これに違反した場合は3年以下の懲役または3000万ウォン(約327万円)以下の罰金が科される。尹大統領は、キム女史の金品受け取りを届け出ていない。 検察は、2つの捜審委の判断通りにキム女史は不起訴、チェ牧師は起訴とすることもできるが、そうなると金品を渡した側は処罰され、受け取った側は何ら制裁を受けないことになる。斡旋収賄と弁護士法違反の容疑でキム女史をさらに捜査すべきだとの声があがっている理由はここにある。シム・ウジョン検察総長とソウル中央地検のイ・チャンス地検長は26日の定例報告の場で、尹大統領夫妻をどのように処分するかについて論議するとみられる。ソウル中央地検の関係者は25日、「まだ処分の時期や方向性については決まっておらず、捜審委の決定や捜査結果などを総合的に検討している」と明かした。 チョン・ヘミン、ペ・ジヒョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )