2025年問題~5人に1人が75歳以上~介護職員増やせ! 職員が被写体になり、自らの言葉で魅力を発信
■2025年は超高齢化社会の様々な問題が表面化する年
内閣府のデータによると、2025年、日本国内では約5人に1人が75歳以上、約3人に1人が65歳以上になる。 第二次世界大戦後、混乱から立ち直る時期の1947年から49年には大量のこども(合計約800万人)が生まれ、「団塊の世代」と呼ばれていて、その人たちが2025年には全員75歳以上となる。少子化で働く世代が少ない一方、高齢者が非常に多い、という世界でも類を見ない超高齢化社会になることから「2025年問題」と言われ、様々な社会問題が懸念されている。 厚生労働省の社会・援護局福祉基盤課の福祉人材確保対策室の𠮷田昌司室長によると、介護職員の数は介護保険制度が始まった2000年からの約20年で約54万人から約215万人(2022年度)にまで増加したという。 しかし介護を必要とする人も増え続けるため、厚労省は必要な介護職員の数を2025年度末には約243 万人、2040年度末には約280 万人と見込んでいる。介護職員が足りなければ、施設の建物があっても高齢者が入居できず、高齢者の自宅への訪問介護も非常に限られた回数になってしまう。 2024年12月の厚労省発表によると、2023年10月時点で全国の介護職員は約212万6000人。増やすべきところが前年度に比べ約3万人も減ってしまった。 介護職員を毎年数万人ずつ増やすにはどうすべきか、大きな課題だ。介護職員をやめる人が以前は2割にのぼり、問題になっていたが、給与引き上げや職場環境の整備が進んだことなどから、離職率は約13%にまで改善されたという。 𠮷田室長は「処遇改善だけでなく、介護職として将来どうなるのか、結婚できるのか、子どもを産んで働けるのか、どうスキルアップしていくのかとか、ちゃんとイメージできた方が働きやすい」とキャリアパスを具体的に示すことも大切だと話す。
■介護職の魅力を職員自らが発信する重要性
厚労省も2025年を見据えて、介護職員を増やそうとしてきたという。介護職員の収入を引き上げる措置のほか、介護経験のない中高年に研修を行い、その後の介護職員体験や職場とのマッチングまで行う事業や、福祉系の高校に通う学生への資金援助、教科書に介護の内容を盛り込み、授業で学ぶほか、介護の仕事の魅力も発信してきた。 2024年度から新たに加わったのが、介護職員自らが企画し発信する枠組みだ。𠮷田室長は「これまでは、介護職員本人が語ることが少なかった。介護に対する思いや等身大の姿を見せることが社会へのインパクトに繋がる」と話し、上記のKAiGO PRiDEなど民間事業者や自治体と協力して、さらに発信を強め、人材確保につなげたいとしている。