2025年問題~5人に1人が75歳以上~介護職員増やせ! 職員が被写体になり、自らの言葉で魅力を発信
2025年は日本の高齢化がさらに進み、約3人に1人が65歳以上、約5人に1人が75歳以上の後期高齢者になると言われている。 ▼介護離職を減らすための備え 個人や職場ができる具体策は 医療や介護を必要とする人が増える一方で、働く若い世代の人口は少なく、直近の発表によると、全国の介護分野で働く職員は2023年度には前年度より減ってしまった。介護業界では人材確保のため、介護職員自らが被写体になり、魅力を発信する新たな動きがある。 (社会部 粕谷真優)
■介護職員の印象的な写真と言葉で仕事の魅力を発信
写真に写るのは介護の最前線で活躍する介護職員。被写体となる職員は自治体を通じて募集され、撮影担当者が背景や照明などを準備して介護施設へ趣く。施設の一角を臨時の撮影スペースに変え、職員の“自己表現”の場にする。 この活動をしているのはクリエイター兼一般社団法人KAiGO PRiDE代表理事のマンジョット・ベディ氏だ。ベディ氏らは広告業界での経験をいかして「KAiGO ✕ Creative」をモットーに、「辛い、大変」との印象を持たれがちな介護現場の魅力を職員本人の目線で発信している。介護職員を増やすための国や自治体による広報活動などにも協力し、介護業界に新たな風を吹かせている。 この団体のHPをみると、介護職員のユニークなポーズや表情が白黒の写真で表現され、その本人の言葉も添えられている。やりがいや魅力、仕事で感じたことなど、まさに介護職員の「プライド」だ。白黒写真にしたのは、色の情報で本人のイメージが左右されないようにするためだという。 写真に添えられた言葉は、 手をつなぐ。『あー安心する』と言われた。ただそれだけの言葉にグッとくる。 多くの人に知ってほしい、未来を照らす職業であること。『待ってたよ』の一言が、限りない喜びと自信を私に与えてくれる。 この仕事は『前向きに生きたい』と思わせる大いなる力がある。 体力も頭も使う、大変なのに、こんなにも笑顔になれる、素敵な仕事。
ベディ氏は「介護に関係ない人はいない」と話す。一人一人が自分事として介護をとらえられる社会をつくるためにも、介護業界のブランディング(独自の価値を広く認識してもらうため、魅力などを伝えること)の強化が必要だと強調する。 そして、日本の介護は日本人の「おもてなしスピリッツ」に似ているとベディ氏は考えている。細かいことに気を配り、必要なものを提供するという傾向は、海外から見ると日本が誇れる点だという。 そうした介護を担う職員の情熱やプライドを彼ら自身の言葉で社会に発信し、介護に興味を持つ人、介護の仕事に参加する人が増えるようにしたいというベディ氏の強い使命感があった。