築地市場移転問題で小池都知事が会見(全文1)豊洲新市場への移転は延期
安全性、費用の増大、業者の不満 3つの疑問点が解消されていない
第1は安全性への懸念でございます。第2は、巨額かつ不透明な費用の増大でございます。第3は情報公開の不足であります。まず、この安全性の確保でございますけれども、何よりもといいますか言うまでもなく、豊洲の新市場は生鮮食料品を取り扱う市場、市場(いちば)でございます。だからこそ、849億円もの費用を掛けて、これ、スケジューリングですね。これでいいのかな。849億円もの費用を掛けて、土壌汚染対策法に則して土壌汚染対策を実施してまいったところでございます。 そして、こちらですね。その安全性の確認のための地下水のモニタリングについては、第1回が2014年の11月18日、そして11月29日にかけまして、201カ所から採水をして行ってまいりました。にもかかわらず、この2年間のモニタリングを完了する前に豊洲市場を開場しようという話に今、なっているわけですね。なぜこのように多額の費用を掛ける必要があったのか、安全性は大丈夫なのかという話になるわけでございます。 地下水の、もう一度戻してください。このように、第9回が2016年の11月18日に最後の採水が予定されていて、そして年明けの1月にその結果が出ると、公表されるという予定になっていて、ここの段階にあるわけでございますけれども、あと1回の部分。法律上の問題はないという話もありますけれども、しかしながらこと、生鮮食料品、水産物でございます。私は環境大臣を経験した経験からも、やはり食の安全ということについては、生活者の目線、そしてまさしく都民ファーストの感覚っていうことを大切にしなければいけないのではないか、このように考え、また私の本にも、拙著にもその点を記させていただいたところでございます。 地下水のモニタリング結果をご紹介をしていきたいと思います。ちょっと見にくいかもしれませんけれども、左の列から第1回、第2回、そして一番右がこちら、第7回となっているわけでございますけれども、不検出の地点を一番薄い青にしております。0.001ミリグラム・パー・リッター。それ以上、0.005ミリ未満を少し濃い青で示させていただいております。それから、0.005以上、0.009未満、これは一番濃い青にプロットをしているところでございます。ちなみに、不検出というのはゼロというわけではない。定量の下限値の未満であるということで、この場合は0.001ミリグラム未満であるということを示しております。 例えば、5街区のこれですね。41地点のみのこれまでの7回のモニタリングの結果を見てみますと、いずれも環境基準値以下となっております。しかし、検出値というのは単純な経時変化というわけではございません。時間がたてば不検出になるという話ではないということであります。ですから、少なくとも2年間のモニタリング結果を見届けるというのは、これは安全性の確認、そしてその説得力ということにおいては、譲ることはできないと、このように考えているわけでございます。環境、そして安全面からのお話をさせていただきました。 それから次に費用の増大についてでありますけれども、豊洲新市場の費用は全体で、2015年の3月の時点で5884億円となっております。建物の建設費だけで2752億円、まず市場の建設にこれだけ費用が掛けられている、そのことだけでも私は驚いてしまいます。また、全体予算でありますけれども、2011年は3926億円でありました。それが4年間で5884億円に膨らんでいるということであります。特にグラフの青い棒、こちら費用の推移、内訳でありますが、この水色が建設費で、だいだい色が土壌汚染対策費、それからグレーが用地の取得費、そして一番右のオレンジ、黄色ですね。これが関連工事費となっているのですが、グラフの青い棒で、棒グラフ、建物の建設費が990億円から2752億円へと急膨張いたしております。 昨今の建設コストにつきましては、よく言われるように人材も、それから資材も高騰しているということは、これはオリンピックなどの建設についても同じようなことが言えるわけではございますけれども、それにしても3倍近い増大に関しては、これはきちんと精査する必要があると。ちゃんと都民に説明をする必要があると、このように私は考えております。 さらにこの豊洲新市場の建物の坪単価を計算をしてみたいと思いますけれども、これは、豊洲新市場の坪単価、なんと坪当たり、約220万円になるんですね。同様の建物の坪単価の相場というのを、いろんな参考例を見ますと、だいたい50万から60万円なんです。で、そもそも坪単価は異常に高い。その大きさ、なぜそんなに大きくなったのか、その理由は私も知りたいと思います。 で、坪単価200万円を超える建築の代表例をちょっと上げてみたいと思うんですが、国立新美術館、これは黒川紀章さんの設計だと思いますけれども、こちらが坪単価約260万円なんですね。資材が高騰する、人件費が高騰するという前の2006年の竣工ということではありますけれども、要は豊洲新市場はこのクラスの建物だということを分かりやすくご説明させていただきました。これが国立新美術館、外観も館内も美しい曲線となって、非常に建築コストはさぞかし掛かっただろうなと。曲面はガラスになっておりますし、造形物としても大変素晴らしいと。またネットでも皆さん、チェックしていただければと、このように思います。 片やこちらが豊洲の新市場であります。皆さんもいろいろ取材にいらしたことだと思いますけれども、都民の大切な税金をお預かりする身といたしましては、やっぱり、なぜこうなったか。適正に、これが適正なのかどうかっていうことを、やはり一度明らかにしなればならないと、このように思います。 3つ目でありますけれども、あすから改革本部、いよいよスタートいたしますが、まさしく情報公開の問題であります。いやもう十分ネットに書いてあるさ、というようなご意見もございましょう。ただ、みんな関心持たなかっただけだというお話もございましょう。しかしながらこの豊洲の新市場が2752億円も掛けた立派な建物だけれども、そこでこんなにお金を掛けていながら、そこで仕事をする業者さんからいまだに不満が多く出てくるのはいったいなんなんでしょうか。 それから849億円も掛けて土壌汚染対策をしているのに安全性への疑問が絶えないのはいったいなんなんでしょうか。それは私はやはり、適切な情報開示、情報公開が行われて、またはちゃんとそれが伝わっていなかったからではないだろうかと考えるわけでございまして、私はだからこそ都民の皆さんが持たれる、こういった普通の疑問、これに対して、真摯に答えていかなければならないと考えております。 今申し上げましたような、いくつかの大きな課題、これらを総合的に勘案をいたしました。立ち止まって考えてまいりました。そしてその結果は冒頭に申し上げましたように、11月7日の築地市場の豊洲移転は延期をして、次の措置を講じていきたいと思います。そしてこの作業、具体的には市場問題プロジェクトチームという組織を立ち上げるということといたしておりまして、その作業にはこちらにおられます、小島特別顧問を中心として、建築の専門家、土壌の専門家、公営企業経営の専門家などなどのご専門の皆さま方によるプロジェクトチームを設けていきたいと思っております。そして今申し上げたようなさまざまな、都民の皆さま方が抱いておられる不安、不信、こういったものにちゃんと応えられる、もしくはここがおかしいといったようなことを精査していただきたいと思っております。