【派閥政治の残像消えぬ自民党総裁選】体質維持に一役買うメディア、候補者はもっと「政策論争」を
新たな息吹を示すことができるか。 自民党総裁選の告示が一週間を切った。出馬表明済み、検討中を含め10人以上が名を連ねる乱戦模様だ。 候補者、推薦人の顔ぶれなど最終的な戦いの構図が明らかになるのは、今月12日の告示直前までもつれ込むだろう。資金集めパーティーにからむ不祥事で引責辞任する岸田文雄首相(総裁)の後任選びだけに、指摘されているように選挙戦を通じ、旧弊を脱したことを国民に示すことが至上命題だ。 自民党にとって、大きな試金石となろうが、現時点での党内の動きをみるかぎり、再生の方向とはかならずしも一致しないというべきだろう。
実現するか〝百家争鳴〟
有力候補の一人、現職幹事長の茂木敏充氏が4日、満を持して出馬の記者会見に臨んだ。前日には官房長官として政権の番頭役を担ってきた林芳正氏も正式表明、現内閣を支える大物が名乗りをあげたことになる。 すでに河野太郎デジタル相、小林鷹之前経済安保担当相、石破茂元幹事長が早々と立起を表明。石破氏と並んで国民の人気が高い小泉進次郎元環境相は6日、高市早苗経済安保相は9日に予定、選挙戦はいよいよ熱をおびよう。 8月14日に岸田首相が総裁選不出馬を表明した直後から、後継に意欲を持つ各氏が公式、非公式に名乗りをあげた。何人かは推薦人集めの難航などから、最終的に出馬見送りを余儀なくされる可能性があるが、これだけ多数の有力候補が手を挙げるのは、従来なら決してありえなかった。 これまでの選挙では、候補の擁立、だれを支持するかなど、すべてが派閥単位で決められていたからだ。今回は、派閥が解消されたことで締め付けが弱まり、志ある者が決断する素地が整った。 結果的に同じ派閥から複数の名が挙がったのもその効果だろう。〝小石河連合〟など政権奪取のみを目的としたグループが結果的に解消に至ったのも、同じ理由、事情による。 優秀な候補者が、〝百家争鳴〟、丁々発止の政策論議を堂々と国民の前で交わすならば、大いに歓迎すべきだろう。これぞ、新生自民党のあるべき姿だ。