【派閥政治の残像消えぬ自民党総裁選】体質維持に一役買うメディア、候補者はもっと「政策論争」を
故小渕恵三氏との対話
古い話で恐縮だが、筆者はかつて、故小渕恵三首相が官房長官時代、〝番記者〟として、そのもとに出入りさせてもらったことがある。 当時はまだ中選挙区制の時代。ある時、小渕長官が「小選挙区制になったら、派閥はなくなる」と断言した。「内閣総理大臣を国会議員から選ぶ制度がある限り、形は変えても派閥は存続するのではないか」と水を向けたところ、「そんなことはない。いやなくならなければならないんだよ」と譲らなかった。「なくならなければならない」に力がこもっていた。 考えてみれば、自らも55年体制のなかで育ち、活躍してきたものの、その不条理、不合理さに気がついていた小渕氏の強い期待、願望だったのではないか。 今度の総裁選の展開を見るにつけ、旧態依然たる実態を、泉下の小渕氏はどうみているだろうか。聞いてみることができないのが残念だ。
樫山幸夫