9月に土石流発生の輪島・曽々木地区、復旧した国道沿いに不安定な岩石…雪解けで再発も
今年9月の大雨で土石流が発生した石川県輪島市曽々木地区の斜面で、岩石が不安定な状態でとどまっていることが専門家の調査で分かった。土石流で寸断された海岸沿いの国道は復旧工事が行われたが、大雨や雪解けがきっかけとなり再び土石流が発生する恐れがあると指摘している。国土交通省は通行時の注意を呼びかけている。
曽々木地区では9月21日午前、能登半島を巡る国道249号線沿いの山で土石流が発生。複数の建物が倒壊し、国道は寸断された。京都大学の竹林洋史准教授(砂防工学)がドローンで状況を調査したところ、斜面には複数の大きな岩や土砂がとどまっていた。
発生当時の状況を分析すると、降り始めから土石流発生までの積算雨量は推計149ミリだった。現地の地形や斜面の角度などを元に計算すると、土石流が発生する雨量は250ミリ超と推計されるが、今回はそれより少ない雨量で災害が起きていた。竹林准教授は「1月の能登半島地震で地盤が不安定になっていたと考えられる。9月の大雨災害後も危険な状況は続いており、今後の雨や雪解けで斜面に水が浸透すると、再び土石流が発生する恐れがある」と指摘している。
国土交通省は、土石流の発生に備える応急処置として、民家への直撃を防ぐための落石防護柵の設置を予定している。
国道249号は二つの迂回(うかい)路が開通し、27日に全線で通行が可能になった。同省の担当者は「山の斜面が様々な場所で弱くなっている可能性がある。付近を通る際は十分注意してほしい」と呼びかけている。