鹿児島県 若い働き手の流出深刻 地域人材確保・育成推協 課題など島の雇用で意見交換
2024年度大島地域人材確保・育成推進協議会(県大島支庁主催)が17日、奄美市名瀬の同庁会議室であった。地域雇用情勢について報告があり、参加者らがシマの雇用環境の課題や改善に向けて意見を交換。若い働き手の島外流出が深刻さを増す中、「インターンシップ制度の充実を」「住まいの確保を」と求める声などが相次いだ。 県の「かごしま故郷人財確保・育成プロジェクト」の一環。行政や観光、学校、商工など関係団体代表者ら約30人が参加。松藤啓介大島支庁長は「島の若者の流出に歯止めが掛からない。関係者が連携を密にし支援に取り組みたい」とあいさつした。 ハローワーク名瀬によると、名瀬公共職業安定所管内の23年度有効求人倍率は前年度比0・7ポイント減の1・23倍。20年のコロナ禍からは回復しているものの「医療、小売業などの人手不足は顕著だ」という。特に23年度管内の高校では卒業者688人に対して就職者は91人。このうち管内就職者は34人と、流出は止まらず対策が急務となっている。 現状や課題報告では、「スタッフ不足で介護難民の増加が危惧される」「需要と供給のバランスが崩れている」(社会福祉)、「定住促進策が一時的」「特に有資格者の配置が困難」(商工)、「入学者減は存続に関わる」「島外と触れ合う機会がない」(高校)、「副業しないと生活できない」「移住する空き家がない」(観光)など、各方面から危機的状況を訴える声が上がった。 改善に向けては、「セミナーやマッチングイベントの開催」「移住者雇用の成功事例の紹介」「移住者の継続的な補助」「住まいの確保」などの推進が求められた。若者流出の予防策では「インターンシップ(就業体験)制度の充実」「誰でも使える学生寮の設置」「地元先輩による体験講義の実施」などの意見も出た。 なお、今年10月の管内の新規求人数(パート含む)は前年同月比2・8%減の657人。有効求人数(1593人)は上回るものの、経済の動きに「弱さ」がみられるという。