大のプロレス好きアイドル・中山夏月姫が聞く、アプガ(プ) 渡辺未詩が頂点に上り詰めるまで
目標が見えない苦しさ
──アプガ(プロレス)の初期メンバーは4人でしたよね。他の3人はプロレス好きだったんですか? 渡辺 4人のうち、2人がプロレス好きだったんですけど、私と今も東京女子のリングに上がっているらくの2人は、まったくプロレスを知らない状態。いつも帰り道に「これ、いつ辞める?」「ムキムキになる前に辞めないと戻れなくなるよね」とか話していました。 中山 ……信じられない! それが今では団体のベルトを立派に巻いているわけですからね。思い出したくもないかもしれませんが、プロレスを始めた頃は何が一番キツかったですか? 渡辺 なんて言えばいいのかな……。目標が見えないのって、やっていてすごく苦しいんですよ。モチベーションがないのに頑張らなくちゃいけないってことですから。たとえば受け身の練習をしていたところで、プロレスを知らないものだから、痛いだけで何に役立つかがわからないんですよ。 「なんで私、床に背中を叩きつけなきゃいけないんだろう?」という疑問だけが頭に残って。それはロープワークも同じだし、筋トレだってそう。アイドル志望だったのに、うっかり間違えてプロレスやることになって……。 中山 そうか~。私たちもライブがあるからこそ、リハーサルや振り覚えを必死でやるわけですからね。たしかに目標がないと人間は普通、頑張れないかもしれない。 渡辺 あとは前例がないことをやっていたという点も混乱に拍車をかけました。「何? 可愛くなればいいの? それとも強さを求めるべきなの?」って正解がわからない状態だったので。 (取材・文/小野田衛)
小野田 衛