なぜ若者の環境問題意識は高くないのか~TBSの専門家が分析「データからみえる今日の世相」~【調査情報デジタル】
こちらも予想通り、料理をする頻度が多い人ほど、「環境問題への意見」質問であてはまる項目の数が多くなっていました。 推測ですが、ふだん料理をする人が壮年以上の女性に多いことから、そうした人たちが家事全般も担っていて、日頃の家事や買い物などを通して個別具体の「環境に優しい行動」を行っているのかも知れません。 ■若者がどうとか言う前に 我が家のZ世代を見ていて、そんなに環境問題に関心があるとは思えない、ということから始まった今回の分析。 結果はその直感を裏付けつつ、日頃家事をしている人々が環境問題を意識した具体的な行動と結びつきやすそうだ、という印象を与えるものでした。 今は親元にいて上げ膳据え膳の若者も、独立して身の回りのことを自分でしなければならなくなるとき、具体的な「環境に優しい行動」を実践するようになるかも知れません。 あるいは、どれが環境に優しい選択かいちいち考えなくても、結果的に良い選択をするように社会が整っているのが、究極なのかも知れません。 しかし、そうなる前に気候変動で地球が滅びそうなので、Z世代で意識の高い人が上の世代を突き上げているわけで……。 誰がどうとか言う前に、自分でできることはしてみよう。毎日、上げ膳据え膳のX世代オヤジは、そう心に誓うのでした。 注1:TBS生活DATAライブラリ定例全国調査は、TBSテレビをキー局とする全国テレビ系列のJNNが、1971年から続けている大規模ライフスタイル調査です。以前は「JNNデータバンク」という名称でしたが、2024年4月に改称しました。 注2:各区分の調査数は、10~20代(若年層)が全体1818人/女性912人/男性906人、30~40代(壮年層)が全体2821人/女性1413人/男性1407人、50~60代(中高年層)が全体2761人/女性1412人/男性1349人でした。ちなみに、30~40代で男女の合計が全体に1人足りないのは、この年代に「その他」の性別の人が1人いて、全体には含まれるものの、男女別集計には含まれないためです。
<執筆者略歴> 江利川 滋(えりかわ・しげる) 1968年生。1996年TBS入社。 視聴率データ分析や生活者調査に長く従事。テレビ営業も経験しつつ、現在は法務・コンプライアンス方面を主務に、マーケティング局も兼任。 【調査情報デジタル】 1958年創刊のTBSの情報誌「調査情報」を引き継いだデジタル版(TBSメディア総研が発行)で、テレビ、メディア等に関する多彩な論考と情報を掲載。2024年6月、原則土曜日公開・配信のウィークリーマガジンにリニューアル。
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