「私は人工知能で作られた野々村真です」…世界と逆行する注目のプロジェクト「AI野々村」が日本を救うかもしれない「深い理由」
「曖昧」こそが人間味
「通常のAIは人間では間違わない作業、また知識の把握が質の高いシステムとされていますが、AI野々村真はむしろ逆です。会話を楽しむのが目的ですから、100%の正確性はいらない。むしろ質問されても『わからない』と言ってしまうもののほうがいい。 言い換えれば今の正確無比なAIからいかに精度を落としたものにできるかが鍵になります。要は曖昧性をどこまで追求できるのかという点ですね。例えば人間同士の会話では『あれが…』『これが…』だけでも伝わる場合があります。それが人間味。曖昧な部分があるから人間なんです」 完成した試作品は昨年6月から東京、埼玉、大阪にある介護施設で実験的に利用された。 「AI野々村真は目的は会話を楽しむはもちろんですが、その会話からいかに他の効果が得られるかというのが重要です。頭の体操や趣味を始めた、あるいは野々村さんと話したことがきっかけで外に出掛けるようになったというのも大切。 今はAIの精度と合わせてそのデータを吸い上げて分析し、レポート作成を行っている最中です。この実験は数ヵ月、長ければ1年ほど行いたいと考えています。今年には100単位の施設での実証実験も想定しています」 ではそのAI野々村真の実力やいかに。 つづく後編記事『日本を救うかもしれない「AI野々村真」、監督が明かす壮絶現場…本人も「どうにかなりそうです!」』では監督が語るAI化の収録現場の秘話や演歌歌手やスポーツ選手を起用するAI野々村真の未来、さらに実際に施設で利用された様子を詳しくお伝えする。
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