のんさんが語る 日本の食 演技通じて元気届けたい
東北に恩義を感じています。主演を務めたNHK連続テレビ小説「あまちゃん」の舞台となった岩手は、もう野菜もお米もお肉も全部、農作物がおいしい。全部、食材がおいしい。スーパーで岩手県産の食材を見つけるとうれしくなって買ったり、岩手の食材を料理しているお店があるとつい入ってしまうほどです。 改名して、のんになってから岩手に行った時に、久慈の皆さんが、「おかえり」と言って温かく迎えてくれました。この思いは忘れません。 昨年末に公開された映画「私にふさわしいホテル」では、主人公の加代子を演じています。不遇な新人小説家が、不屈の精神で文学界をのし上がっていく「文壇下克上」。加代子がすがすがしく下克上していく姿は、農家の皆さんもスカッとご覧いただけるんじゃないかなと思います。いろいろなことが日々起こります。日々のストレスだったり、理不尽だったりを加代子が代わりに全部吹っ飛ばしてくれる。 激動の時代が繰り広げられています。農家の皆さんがいろいろなことに見舞われている中で、私ができるのは演技。表現で、誰かの気持ちを元気づけることかなと思います。 「スポットライトが当たらなければ、スポットライトの下に走っていけばいい」。加代子の映画の中の言葉です。劇中で語られる言葉は、今の若い人にも響き、刺さるものがあると思います。 生まれながらにしてスポットライトが当たる人はいません。私自身、生まれたときからスポットライトに当たっていたわけではなく、かなえたい夢や追い続けたい理想の姿になるために、頑張ってスポットライトに向かって走っていった方だと思いますね。頑張れば、きっとスポットライトは当たると信じています。 撮影中は自炊をしていました。米はもちろん、最近は野菜をふんだんに使ったスープを作ることが多いです。セロリやトマト、エノキタケ、鶏肉だんごなどを入れています。食は力になります。 (聞き手・尾原浩子、廣田泉) <プロフィル> のん 1993年、兵庫県生まれ。俳優、音楽アーティスト、映画製作など幅広いジャンルで活動の幅を広げる。NHK連続テレビ小説「あまちゃん」で主演。映画「さかなのこ」で第46回日本アカデミー賞優秀主演女優賞を受賞。
日本農業新聞