「年収400万円」の30代会社員。同僚に「ふるさと納税をやらないのはもったいない」と言われました。独身で年収も高くないですが、本当に「おトク」なのでしょうか?
年末が近づくとあちこちで見たり聞いたりする「ふるさと納税」。 でも「実際どういう仕組みなのか」「本当に得するのか」よく分からないという人もいるのではないでしょうか。特に、年収400万円の30代独身会社員であれば所得にそれほど余裕があるわけではないため、「余計な出費になるのでは」と気になるかもしれませんね。 本記事では「ふるさと納税って何?」という基本的な疑問から、年収400万円の30代独身会社員がふるさと納税を利用した場合にどれだけおトクになるのか、大まかにシミュレーションしてみます。 ▼会社員で「年収1000万円」以上の割合は? 大企業ほど高年収を目指せる?
ふるさと納税とは
ふるさと納税は、名前に「納税」とついていますが、実は都道府県や市区町村に行う「寄附」の一種です。住民票がある自治体以外の自治体に寄附をすると、自己負担額2000円を除いた寄附金の全額が翌年の所得税や住民税から控除されます。 さらに寄附をした自治体から「返礼品」として地域の特産品や宿泊券などを受け取ることができます。
ふるさと納税で税金が安くなるわけではない
ふるさと納税で翌年の税金が控除されると聞くと、節税になるように思うかもしれませんが、実際は異なります。 ふるさと納税で寄附をすると、図表1のように寄附金のうち、2000円を超える部分が翌年の税金から差し引かれます。最終的に支払う税金の額は変わらないため、「翌年の所得税や住民税の一部を前払い」している状態であると言えるでしょう。 むしろ、「寄附額=本来支払うべき税金+自己負担額2000円」となるため、支払金額だけを見ると2000円余分に払っていることになります。
<図表1> 総務省 ふるさと納税のしくみ より筆者作成
返礼品には自己負担額2000円を超えるおトクがある
本来支払うべき税金に自己負担額2000円を上乗せして寄附をすると聞くと、なんだか損をしているような気になりますよね。 しかし、ふるさと納税では寄附を行うと、自治体から「返礼品」を受け取れます。返礼品には米や肉、海産物や果物などの食品から、ティッシュペーパーのような日用品、さらには宿泊券や地域体験などさまざまな種類があり、寄附額に応じて好きなものを選べます。 実際にふるさと納税でどのくらいのオトクを得られるか見てみましょう。 ・ふるさと納税で1万円を寄附した場合 ふるさと納税の返礼品は、寄附金の3割以内と定められているため、 寄附金1万円=自己負担額2000円+翌年控除される税金8000円 返礼品=3000円相当 となり、2000円の自己負担で3000円相当の返礼品を受け取れ、1000円分のおトクとなります。同様に計算すると、下記のようになります。 寄附金2万円の場合の返礼品は約6000円で4000円のおトク 寄附金3万円の場合の返礼品は約9000円で7000円のおトク 寄附金4万円の場合の返礼品は約1万2000円で1万円のおトク このおトクさが、多くの人がふるさと納税をする理由です。